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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season9-1

   

 氷室探偵事務所は、沈痛な面持ちでいた。御影の恩師であり、探偵のイロハを教示てくれた森谷探偵が死んだ。

 なにかを確認するために単独で行動していた森谷。かつて解決した少年がどういう暮らしをしているか気になっていた。また悪に染まっていないだろうか。妙な親心からくる心象であった。

 影で操って指示していた後ろぐらい大人が、少年にしていたことは運送業。
 麻薬と現金の受け渡し人だ。

 もう半年もまえのことを気にかけての行動。だが彼は外見こそ変わっていないが、心のうちは年頃の少年の悩みでいっぱいだった。
 恋愛だった。

 森谷は安堵し微笑みを浮かべていた。しかし、その背後に忍び寄る人物に拉致された。

 そして森谷は御影たち探偵の目の前で爆死した。

 御影は森谷がどういう行動をとっていたか、単独で調査にでる。

 そこに思いがけない助っ人が現れた。共に行動し、森谷爆死の真相を暴くため、探偵たちは行動に移していた。

 

 森谷探偵が爆死してから、氷室探偵事務所はどこか空虚感に包まれていた。

 御影は入社してからずっと森谷探偵に面倒を指導を、学習してきた一番の恩師だ。

「御影くん、めずらしく欠勤ね」水桐がぼそっといった。

「さすがにあいつも胸を痛めているとみえる」川上が浮かない顔でいった。

「おまえもそんな顔しているじゃないか」火守が険しい顔でいった。

 川上は一瞬だけにらみすぐに視線をそらした。

 大地はソファに体育座りをして顔をうつむかせていた。

「雲田さんはどうしたの?」水桐はいった。

「さぁ、どうしたかね。おれは依頼があるから出かける。みんなも塞ぎこんでないでまっとうしろ。探偵として」火守はそっけなく出かけていった。

「冷たいひとね」水桐は目を細めた。

「しかたないでしょ」事務員の斉藤がいった。「あのひとも森谷さんにあれこれと指導を受けたうちのひとりよ。みんなもそうでしょ。めげないためにも探偵として動いているのよ」

「それってごまかしているのでしょ」森谷の助手の佐伯事務員。最年長。「やっぱり悲痛な顔を見られないために外に出た。そんなところよ男のなかの心って」

 科宮と佐崎事務員も表情は暗い。

 小柴だけはいつにも増して仕事をこなしていた。

「あのひともそうなの?」水桐は佐伯にたずねる。

「小柴さんもそう思っているわよ」佐伯はいった。

「氷室さんはどうしているかな」川上がいった。

 そこでだれも話すものはいなくなった。

「森谷さん、いったいなんで爆破に巻き込まれたんでしょ?」大地の顔は天井を見上げていた。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season9 <全8話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話

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