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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

44口径より、愛を込めて END

   

 全ての結末は!?
 
 長い間、ご愛読誠にありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ
 次回作も、どうぞよろしくお願い致します。

 本格ミステリー『44口径より、愛を込めて』

 完結!!

 

 陽太君が空いている方の手で、私の肩を抱くようにして、開けた扉から私を退室させた。バタン、と。扉は無機質な音を立てながら、閉じられた。
 死んだような室内に、私達の足音だけが響き渡る。無言のまま廊下を通り、外へ出ると、カッと太陽の光が視界を真っ白に染めた。思わず、私は顔を避けた。
「これが、シャバってやつですよ」
 陽太君が、ぽつりと零した。
「眩しくて、眩しくて。顔を避けても眩しくて、逃げる事なんて出来ないんだ。だから、必死で眩しさに負けまいと上を向く。上を向くことを辞めた者は、日陰に逃げ込み、そこから動こうとしない。やがて日陰にも慣れ、また影へ闇へと逃げていく。逃げて、逃げて、もう太陽の光の下へは戻れない」
 私は、手で遮りながら太陽を見上げた。陽のエネルギーは、私の掌を通過し、そこに流れる真っ赤な血潮を見せてくれた。
「……日陰にいるうちに、太陽の下に戻してあげることは出来ないのかな…?」
 陽太君は、答えた。
「おこがましいかもしれないけれど、その為に俺達は居ると思ってる」

 おこがましいのは、私の方だ。私だって、日陰を求めた人間なのに。

「魔夜さん。日向野の人生は、同情すべきレベルかもしれない。でも、その先の行いは、決して許されるレベルではないんです。結果として、日向野は、自分を苦しめた父親以下の人間になってしまった」
 私は頷き、黙ったまま陽太君の話に耳を傾けた。
「日向野が自白し、昨晩、ヘロイン流出の疑いが掛かっていた賢木田、坂下、色摩の三人も逮捕となりました。取り調べによると、最初にヘロインの話を持ち掛けたのは、日向野の患者であった賢木田。日向野は賢木田から坂下の紹介を受け、三人で、主に患者を利用する形でヘロイン中毒者を増やしていったようです。密売人や虐殺事件の犯人となった外国人グループは、金やヘロインで適当に雇った密入国者だったそうです。事件で使用されたコーラカル・アヂーンについてですが、日向野が作った偽物だそうです。驚く程、本物とよく似ています。それら捜査撹乱の為の計画も、警察の動きを知る為の方法も、ヘロイン受け渡しのアイデアも、全て日向野の目論見だったそうです」
 私は、なんとなく歩みを止めた。数歩先で、それに気付いた陽太君も歩みを止め、振り返ると、不思議そうな表情を見せた。
「陽太君。私、お日様の下に戻りたい!」
 陽太君は不思議そうな顔のまま私を暫く見つめた後、にっこりと笑った。
「行きましょうか。魔夜さんが、行きたいって言っていた場所に」
 私は頷き、同じようににっこりと笑った。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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