幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season9-3

   

 氷室名探偵とのチームを御影は歓喜でもありながら、恩師の弔い合戦でもあり、これまで以上に奮起している。

 氷室が名探偵といわれる分析能力を体感する。

“パズル・アナリシス”。

 分析、解析、分解して組み立てる。氷室独自の脳内解読方法。火守探偵もこれに近い能力だった。

 大森警察署の警部に頼み、現場検証を見させてもらう。
 手がかりがあるか、その目で見なければなにもはじまらない。

 敵が神保組だとわかっても憶測に過ぎない。これまでの依頼を解決してきた腹いせに森谷をまず始末した、ということだ。狙いは探偵だということ。

 氷室探偵事務所のメンバーはこぞって重い腰をあげて行動に移していた。御影たちに触発されて、小柴があおる。負けたままではすまないのがここにいる個性ぞろいの探偵だ。

 すべてが爆破して吹っ飛んでいても、プライベート・アイで見えないものはない。

 御影が探偵としての素質を氷室にみせつけるための武器が発動する。

 そして奇妙な状況であったと思い出した。

 

 氷室が車できていた。「乗れ」

 御影は助手席に乗った。主導権は氷室にある。

「どこにむかっているんですか?」

「現場百遍、何度見ても見落とす可能性だってある。時にひとは盲目となる。それが身内なら余計に目を背けたい。そこに重要なものを見ているのに、見逃している。ひとの心理だ」

 氷室はひとの心の中をよく理解している。心理学を熟知しているとでもいうのか。だからひとのとるべき行動を読んでいる。犯人の行動もそうだ。心理学、犯罪学からの見地から推理している。

“パズル・アナリシス”。分析、解析、分解して組み立てる。

 氷室独自の脳内解読の方法だ。

「さすがですね。その判断力、おれなんか足元にも及ばない」御影は苦笑して前髪で目を隠す。

「そんなことはない。わたしにはないものを御影くんは持っている。探偵として必須なもの。天然でそれを持ち合わせている。探偵の目だ。それは現場で生きてくる。その目で森谷さんの爆死した現場をみる。みつけてみろ。その目で」氷室はいった。

“プライベート・アイ”の発動を御影は開眼する。「わかりました。おれにできることをやる。足りないところは氷室さんがいる」

「そうだ、ひとりですべてはできない。どんな人間でもどんなに優れているといわれても、わたしもそうだがフォローがいる。わたしが後援システムを重点に置いているのはそういうミスを未然に防ぐためだ。だから単独行動は避けなければならない。こんかいはわたしの教訓が行き届いていなかった、わたしのミスだ」

「いや、そうは言い切れないです。森谷さんの心情はたぶん、探偵社に迷惑をかけまいと、それに予測できなかったことが起きた。森谷さんのこの結末はあまりにも非日常です」御影はいった。

「それが一般論だな。わたしたちは油断していた」氷室の奥歯を噛みしめる音が車内に響いた。それだけ悔しがっているのがわかった。冷静でかっこつけでファンサービスに笑顔を怠らない氷室 鉄矢。その心はいま熱情が滾っている。

 平和島の爆破した倉庫まできたふたり。

「まだ鑑識が調べている」御影はいった。

「まぁな。あれだけの爆発だ。しかもひとが死んでしまった。しかたがないことだ」氷室がいった。

 刑事がこちらに気づいて近づいてきた。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season9 <全8話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話

コメントを残す

おすすめ作品

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】15

   2017/11/20

ロボット育児日記39

   2017/11/17

忠実な部下たち

   2017/11/17

モモヨ文具店 開店中<36> ~帰り行く者~

   2017/11/16

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】14

   2017/11/15