幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season9-4

   

 現場を後にし、ふたりは単独で調査をしている雲田、火守のふたりと合流する。情報交換のため九段下で待ち合わせていた。

 情報の進展がなにかしろあったとみえる。

 森谷の心情を知ることになった御影。どうやら息子と重ねていたようだ。

 家出をし、黒い連中に染まって、まさかドラッグに関わっていた。森谷の息子は餌食になっていた。

 その苦い過去があり、少年を放っておけなかったのだ。

 そんな優しさのある森谷を、背後から襲い爆死させた犯人の反社会組織である暴力団、神保組のメンバーである可能性が高くなった。

 お手製物で遠隔装置のある爆弾だと田岡警部から氷室へ連絡が入る。つまりが、犯人は森谷が爆死するとき、近くにいたということだ。

 御影たちも目撃されている。

 

 ふたりは現場を後にした。

「けっきょくなにも進展には結ばなかったか」助手席に乗る御影だった。

「そんなことはない。森谷さんがどういう状態、状況だったかはあらかたわかってきた」氷室は運転席でいった。

「ほんとうですか。さすが…」御影は唖然としていた。

「運転席に拘束されていた。おそらく体はロープやシートベルトも利用して固定されていた。鍵がないと仮定しよう、ハンドルに両手を接着剤ではりつける。鉄の塊はもう逃げようにもない。森谷さんも動けない。つまりが確実に犯人は森谷さんを車の中で爆死させることが目的だとわかる」氷室は運転席で推理したとおり真似て再現していた。

「たしかにそのとおりですね。でも、タイミングがよすぎた。おれたちが来たときに、まるで目撃させることが目的だったかのように爆発は起きた。あんなの見せられたら冷静ではいられない」御影はいった。

「そうだな。だが、いま言ったことにヒントがある」

「どこですか?」

 氷室はニヤリと微笑んだ。「まるで目撃させ、爆死させるところを見せるのが目的だった」

 御影は驚愕していた。「では、おれたちを…」

「そうだ。やはり核心できた。きてよかった、現場にね。森谷さんを襲った犯人は確実にわれわれ氷室探偵事務所を抹殺しようとしている。そう考えた方がいい」氷室は真剣な顔つきになった。

 御影は声がでなかった。命を狙われている。その相手が反社会組織である可能性があがったとなれば、うかうかしていられない。

「ほかの探偵たちはだいじょうぶですかね?」御影はいった。

「そうだな。だいじょうぶだと思うが、不安はある。どんな手段を使うかはわからない。なんせ、一人目がこれほどの手できたのだからな」氷室はいった。

 御影は押し黙る。次は自分の番になるのではないか、そう恐れはじめた。

「恐いか?」氷室がきいた。「いまならこのまま逃げてもいいのだぞ。これからは警察に保護してもらいながら生きていく。それもいいだろう」

「氷室さんはどうするつもりですか?」

「わたしはいつもどおりだ。悪には屈しないし弱音は吐かない。向かってくる相手がいるのなら打破する。背後から襲ってくるのなら背中に目をつける。どんな敵でも返り討ちにする。そういう策略を練っておく。探偵なら頭を使って二手、三手先を読み行動するまでだ」氷室は御影に探偵のイロハを教えた。

「ひさしぶりに氷室さんからご教授してもらっている感じがしますね」御影は微笑んだ。

 氷室は鼻で笑った。

「これから雲田と火守探偵と合流する。彼らが独自に動いているから、情報の交換だ」

「え? そうなんすか!」御影は驚いた。

「メールが届いた。落ち合う場所へむかう」氷室は車のエンジンをかけた。

「はい、わかりました」御影は胸躍っていた。すごい面子で作戦会議だ。わくわくしていた。「かならず森谷さんの仇はおれたちでとってやる」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season9 <全8話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話