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SF・ファンタジー・ホラー

ウパーディセーサ〈十四〉

   2016年3月18日  

 聖埜くん、僕の技術はほぼ君に教えた。そして君は君なりの努力で素晴らしいプログラムを開発した。君は一人で生きていける程強い。でもその強さは、君の弱さでもあるんだ。それが一緒に暮らして来た間に君は学んでくれたと思う。そう、君は僕の……聖埜くんは僕の自慢の……

 

 
 気が付くとリビングのソファーで眠っていた。辺りを見回したが、平山の姿がない。呑みすぎたせいか、喉がカラカラで頭も痛い。冷たいソーダを飲もうと冷蔵庫までフラフラと歩いた。するとなにやらメモが冷蔵庫に貼ってある。地下の研究室に行くためのエレベーターID番号とカードキーが貼ってあった。平山は先に研究所へ向かった様だ。
 取り敢えずソーダを取り出し、いっき飲みをし、炭酸の喉攻撃に耐え、大きなゲップをした。熱いシャワーを浴び、二日酔いの気持ち悪さを発散させ、洗いたての少しサイズの大きいシャツに袖を通し、出発の準備をした。
 玄関のエレベーターのボタンを押し、メモ通りに暗証番号を入れ、カードキーを通した。静かにエレベーターは動きだし、地下までノンストップで到着した。成る程。カードキーを使うことによって、他の階の住民と鉢合わせすることもないのだ。
 ドアが開くと、俺の心臓がバクバクと音をたてて高まった。理想通りだ。真っ白な壁に千坪はあるスペース。白衣をまとった研究員が遠くの方で走り回っている。
「おはよう、聖埜くん」
 研究所に見とれていた俺に馴染み深い声が引き止めた。
「なぁ! すごいじゃないか! まさに俺が想像していた景色だよ。すげーよ!」
「それは良かったねぇ~。さあこっちへおいで。僕のデスクがあるから」
 研究員に紹介もなしかよ……と思いながらも、平山の後を追った。
 平山のデスクは個室になっていて、パソコンに本棚、コーヒーメーカー。ありとあらゆる物がそろっていた。
「さてっ! 君にはこれを作ってもらいたい。素材はこの研究所に揃っているはずだから。あと君に紹介したいんだ! ほれ!」
 平山が分厚いファイルを俺に手渡したあと、デスクの下に屈み込みなにやら白い物体を持ち上げた。
「ニャーン」
「うわあっ、なんだそれ。やめてくれよ、おれは猫が嫌いなんだ。あっちへやってくれ!」
 俺は後ろへ後ずさりした。
「どうして~? この子だって僕の家族なんだよぉ。優しくしてあげなきゃぁ~」
 そう言って、その真っ白な猫を俺に近づけた。
「ニャオ~ン」
「やめろ! 本当に……駄目なんだ、怖いんだ……」
 平山は少し残念そうな顔でうつむいた。
「まぁ、だんだんと慣れて来るよぉ。それよりも今渡したファイル、軽く目を通しておいて。僕は今までとってもとっても、ある開発に忙しかったんだけど。それも完成してね、朝に先方がその機械を引き取りに来たからものすごく暇なんだぁ。なにか質問があれば答えるけど、なければ久しぶりに外へ出かけないかいぃ?」

 

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