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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season9-5

   

 四人が九段下で情報交換しているさなか、向かいのファミリーレストランで探偵たちを監視している男がいる。

 その男が森谷を爆死させた張本人。

 蓮沼 煉児(はすぬま れんじ 32歳)。

 向かいの席には千石というボディーガードがいた。探偵が神保組の本拠地まで迫っている。

 危険を感じているふたりでもあるが、蓮沼は関係ねー、と余裕に跳ね除けた。

 蓮沼は探偵たちに狙いをあわせているところ、もはやターゲットは氷室探偵事務所の探偵である。森谷と同じように襲われる可能性がある。

 川上と水桐、大地がそろって行動をしていたが、追跡されている気配を感じ取った。警察か敵か、正体をあきらかにしないとならない。

 三人は覚悟を決めた。森谷とおなじことにならないためにも直接対峙するしかない。

 氷室は御影を連れて東京拘置所にきていた。面会をしにきたという。

 そこに現れたのは、かつての男だった。事件解決の糸口を得るため、直接関係者に質問をしにきたのだ。

 それは氷室も感じていたこと。つまりが氷室探偵社の探偵抹殺だった。

 

 向かいのファミリーレストランでひとりのお客が喫茶店にいる探偵たちを観察していた。車が挟んでいるほどの距離だ。監視の目も気づくことはない。

 眼鏡をかけているいい年の男だ。スマートフォンで話している。

「はい、だいじょうぶです。万事うまくいくでしょう。俺様にたどり着けるはずもない。もっとも近づいたとしても爆発させてやりますよ。はい、じゃあまた」通話を切ると男はモンブランのケーキを食べていた。

「頭脳戦か、まったく、こちらもいまのうちに甘味を補給だ」眼鏡は望遠レンズになる優れたものだった。会話は唇の動きを読んでいた。

「レンジさん、あまり派手な行動は慎んだほうがいいんじゃないすか」向かいにすわる若い男。目の前にはコーヒーだけだった。

「なぜだ、センゴク?」モンブランを小さなフォークで刺して一口食べた。
 蓮沼 煉児(はすぬま れんじ 32歳)。俺様という。森谷を爆死させた犯人。

「神保組本部の近いところまで調査されている。森谷という人物にあれこれと探られてしまっているとみるのが道理です。もはやこちらの手の内はバレてます。組長もかなり懸念しています」
 千石 高師(せんごく たかし 26歳)、神保組の組員兼ボディーガードだ。

「そうだとしても、なにもできやしねーよ。俺様の計略は完璧だ。経緯は掴めても証拠がねぇ」下品にも舌をだして相手を揶揄した。

 千石は黙った。

「あいつら本気で俺様を捕縛できると思っているのかねー。だが、森谷を始末した場所にまさか探偵たちがそろって現われるとは思ってもみなかった。むこうも先手を打っているだけの頭脳はあるようだな。しかしもっと頭脳派なのは俺様だ」蓮沼は笑った。

「まったく、その自信が過信にならなければいいのですけど。そもそもなぜ、あいつらがここに現われると思ったんですか?」千石がいった。

「そんなの簡単だ。復讐者として俺様を追っ手くるのはとうぜん。そこであいつらの探偵社のメンバーを全員見張らせている。その中でいちばんの重要人物。氷室名探偵が動いているのをしった。やつをやればこちらの勝ちだろ」蓮沼はいやらしく微笑んだ。

「そうですか。でもそれだと手ごわいですよ。もしやりあうなら巻き込まないようにしてください」千石はいった。

 蓮沼は鼻で笑った。「もっとも手足を削いで頭脳だけは残してやる。営みがどれほどたいへんか、それは正義でも悪でも関係なしにな。その痛手を思いしらせてやる」

 千石は悟っていた。「手足は探偵たちで、頭脳は氷室名探偵って意味ですよね?」

 蓮沼はいやらしく笑った。

 そこにウェイトレスがきて、フルーツパフェを千石の前に置いていった。

「女子か」蓮沼は揶揄した。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

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