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ハートフル

家族の肖像(1)

   2016年3月31日  

4月から高校3年生になろうとしてる直人は、のんびりと春休みを満喫しようとしていた。
しかし母親であるハルさんから、大家さんに家賃を届けるように言われ、大家である大塚夫妻を訪ねる。
通されたリビングで目にしたものは、ハルさんの部屋で見た、天使のような女性の肖像画とそっくりな女性の写真だった。
写真の中で笑顔で写る、天使のような女性と、母、ハルさん。そして父の利久。
3人はいったいどんなかんけいだったのであろうか。
そして、大塚夫妻から、明かされた、直人の出生の秘密に茫然としてしまった。

 

3月も、春休みに入り、直人はのんびりとベッドの上でゴロゴロしていた。
時計は、朝の8時を過ぎている。
普段であれば、学校へ行っている時間であるが、今日から春休み。
4月になれば直人も高校三年生になる。
のんびりできるのは、この春休みまでと言う事だ。
とは言っても、大学受験を考えて、既に受験勉強を始めている同級生達もいるのが現実だ。
直人は、まだ進路を決めかねていた。
進学するにしても、自分が何になりたいのか、どうしたいのかもまだよくわからずにいる。

階下からの怒鳴り声で直人は飛び起きた。
「直人っ!!春休みだからってゴロゴロしてるなっ!!そろそろ起きろッ!!」
慌てて、ベッドから跳ね起きると、階下へと降りて行った。
今、怒鳴っていたのは、ハルさんだった。
ハルさんは、直人の母親だが、何故か幼い時から既に「ハルさん」と呼んでいた。
父に聞いたところ、「ママ」とか「お母さん」と呼ばれるのが照れ臭いから、本名が「遥」なので「ハルさん」と呼ばせていたらしい。
なので、父の事は、利久だが、普通に「父さん」と呼んでいる。

リビングを抜けて、キッチンに入ると、ハルさんは朝の洗い物を済まして、出勤の準備をしていた。
ハルさんの仕事は、近くにあるカフェのパートだ。
「直人、今日暇だろ?家賃、大塚夫妻の所に届けてくれるか?直人が春休みだって言ったら、どうしても逢いたいってさ。これ家賃入ってるから。」
そう言ってハルさんは、家賃の入った茶封筒を直人に手渡した。
「いつも思うんだけど、家賃銀行引き落としとか、振り込みとかに出来ないの?毎月めんどくない?」
「最初にこの家契約した時からの約束なんだよ。大人の事情に首突っ込むな。」
ハルさんは面倒くさそうにそうい言うと、
「じゃあそろそろ出かけるから、あと戸締りよろしく。昼までには行くって伝えてあるから必ず行って来いよ。」
「はーいっ。」
一応素直に返事をしてみた。
「よし。素直でよろしい。じゃあ頼んだからな」
そう言ってハルさんは出かけて行った。
ハルさんは、どちらかと言うと男っぽくて、父と結婚したのも不思議な気がしていた。

 

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