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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season10-1

   

 氷室は御影について改めて素性を独自で調査した。そしたらとんでもないことがわかったと、小柴に資料をみせた。

 小柴ですら鳩に豆鉄砲のような初めてみせる顔をした。

 探偵たちは御影が出社していないことに首をかしげるが、理由がわからず無断欠勤するようなやつではない。そこまで認めさせていることは、ある意味、信頼、仲間であることの証明でもあった。

 事務員の佐伯が、小柴から御影の休暇を許可したと、しっかり話していた。

 そこに小柴が現れ、御影の休暇理由を川上がたずねる。

 御影は探偵を辞めるかもしれない。と不可解なことをいった。

 氷室が調査した資料を見た小柴はおそらくその連想から、御影が辞めるのではないか、といった。

 御影は実家に帰る。同じ都内にあるが、今回なぜ、帰ることになったか、それは幼馴染の悩みをきくことにあった。

 それは探偵として頼ってきたのだ。

 幼いころの淡い恋心が、御影の心を思いださせた。あのころの思いが時間とともに失われてしまった気持ち。

 これは御影の初恋の物語。

 

 氷室は独自に調べたことを小柴のまえでぼやいた。「驚いたな、御影くんには…」

 小柴は御影ごときになにを驚くことがあるのか、興味無さそうにたずねた。
「なんですか?」

「彼はなぜ、探偵になりたかったのか…実に動機が見えず、不自然極まりない人物だと思っていた…」

「どういうことですか?」

「彼の家系だよ、信じられんよ」

 小柴はのぞくように氷室が持っている資料に目を細めてみた。2秒でくちをあんぐりと開いたまま、御影の素性に驚愕していた。

 氷室は小柴の驚いた顔を見入っていた。「素敵だ」

 氷室探偵事務所2階に探偵たちは集まっていた。

「御影くんはどうしたのだね?」森谷は周囲のだれにも届くように声を張った。

 さあー、と首を傾げるものばかりが返ってきた。

「無断欠勤かな…おやおや珍しいことなのだよ」森谷はまったく心当たりはない。

「あっ、そうだ」事務員の佐伯が素っとん狂な声をだした。

「どうしたのかね? 年甲斐もなく」森谷は一言多かった。

「ほんとすげー声だったな」川上がからかうように水桐にいった。

「わたしも女性よ、敵になりたいの?」微笑んでいながら目が獣のように鋭かった。

「いや、べつに…」川上は苦笑していた。

「ごめんなさい。御影くんは休暇をとってます。ご実家に用があるとかで二三日…、長ければ一週間かかると、小柴さんからは許可はでてるので…」佐伯は慌てたようすで説明した。

「一週間もか、さぼりか」火守がいった。

「どうしたんだろう?」森谷も知らないことだった。まずは森谷に相談するはずだ。その関係性は崩れないはず。

「でも、だれよりも熱心のあるひとだったでしょ…、見習い探偵が本物の探偵になろうとしていた」水桐は御影の評価を語った。

「そうだな。あいつが辞めるとか、そういうのはないだろ。自分からさ。探偵の鑑のようなやつだ。あの熱意はな」川上が弁解する。

「ああ、そうだな。勢いは認めてやってもいい。無論、探偵バカともいえるけど」火守が揶揄した。

 ほかの事務員が微笑んでいた。

 雲田と大地はこっそりと耳だけ傾けていた。

「みなさん」小柴が登場した。「御影くんの噂はそこまでにして、仕事してください」

全員がばつが悪そうに肩をすくめる。

「御影はどうしたの?」川上が遠慮なしにきいた。

「探偵、辞めるかもね」小柴は一瞬躊躇うも、直球的にいった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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