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モノクロビオラ 7章

   

次々と明らかになっていく春菜の想い。
そして、襲い掛かってくる衝撃の真実。

色を失った物語は、ここで大きく動き始める――。

 

「困る困らないは、うん、どうでもいい。あたしは思い出してほしいだけだから、色んなことを。そして、モノクロになってしまったものに、色を塗ってあげたい」
 彼女の指す『色』が何を示しているのか、僕は未だにわからずにいた。きっとそれは、比喩であって、一般的に使われる『色』とは別のものなのだろう。なぜそんな遠回しな言い方をするのかはわからないけど。
色……か……。
――モノクロという色は存在しない。むしろ色が存在しないからこそのモノクロなのだ。
 厳密に言えば、色が全くないわけじゃない、透明と同義ではないのだけど、一般的な、ごく普通の解釈としては、色ではないと言ってしまっても誰かに責められるような誤認ではないだろう。

「着いたよ、倉耶くん」
「見ればわかりますよ、さすがに」
 あれだけ強烈な印象を脳裏に焼き付けた模造線路。忘れるわけがない。忘れられるわけがない。
「すごいね。感心しちゃった」
 春奈さんはそんなことを言ってのける。感心なんて、していないだろうことはその表情から十分に読み取れた。
「もう気分が悪くなったりしないんだね」
「そんなことありませんよ。最悪の気分です。最初の衝撃に比べれば、まあ落ち着いて見ることはできるようになりましたけど」
「それだけでも十分すごいんだよ。やっぱり君は特別だね」
「特別?」
 僕の問いを無視して、春菜さんは模造線路の周りをゆっくりと歩き始める。まるで何かを確かめているかのように。
 そしてそれは実際に、何かを確かめているようだった。
「この辺りかな、うん」
「何のことですか?」
「どこに誰がいたか、思い出してるの」
 誰がどこにいたか……。一体誰のことを指しているのだろうか。その言葉から察するに、複数人であるようだけど。
 春奈さんのことは、最初からよくわからない人だと思ってはいたけれど、会う回数が増えるごとに、その不可解さは深まっていく。

 

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