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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season10-6

   

 インタビューに答えていたひばりの美貌は視聴者の目をひき虜になっていた。
 ソーシャルネットワークでは拡散され、情報を求める掲示板もあるくらいだった。

 ほとんどそこからストーカーと化した男たちに狙われることになったひばり。

 御影がいなければひばりはどうなっていたかわからない。

 佐藤はそのハイエナのなかのひとりに過ぎない。

 警官は、“はい、逮捕”、としっかり職務を果たす。だが、佐藤は捨て台詞にも似た言葉をひばりに投げる。

 佐藤は、ひばりが証券会社に面接したとき、御影が同行したときだが、はじめてひばりを付け狙ったといった。それよりも前に、ひばりはストーカーの気配に恐怖を抱いていた。

 御影は推測した。少なくとも、あとひとりはいる。

 佐藤はひばりをどのように探りストーカー行為に至ったか話す。

 その手口は、これからも増殖するおそれがあるものだった。インターネットではひばりの情報が網羅されていると。

 警官は警告した。が、恋愛に不器用な冴えない男の顛末に哀れみの言葉しかなかった。

 御影はひばりにストーカー対策として、恋人がいればそういう輩から守れることになるのではないか、と提案する。

 だが、ひばりは拒否した。それは御影を選ぶことではなかったことに傷心してしまう。

 

 就活中のひばりは、情報番組のインタビューに答えていた。テレビに映る彼女はそれは目をひくものだった。
 大企業や一流企業、一般企業といった普通に就職するよりは芸能関係に入ったほうが人気がでるのではないか、と思うほどの美貌と洗練された印象、スタイルや振る舞いが抜きんでていた。

 とうぜんながら、世の男性の注目を浴びていた。SNSでツイートされ拡散されていた。テレビ画面をスマートフォンで画像を撮りアップしたものだ。

 あっというまに拡散は広まり、就活中の女性がどこのだれかすぐにわかってしまった。言い寄るような無作法な男は現れなかったが、むしろ冴えない陰湿な男に狙われてしまった。

 佐藤 寛のようなストーカー野郎にだ。

「そんなことがあったのか?」御影はつぶやいた。

「ごめんね。忘れてた。でもまさかそれが発端になるなんて思ってもみなかった」ひばりは眉をさげていまにも泣きだしそうだった。

「そうか、そういうことじゃしかたがないな。ストーカーは犯罪行為だ。逮捕ね」警官は同情せずにしっかりと職務を果たしてくれた。

「ありがとうございます。これで、安心できるよな?」御影はひばりにむけていった。

「ずいぶんあっさりと…」唖然としていたが、ほっとしたのか笑顔が浮かぶひばりだった。

 まさか自分の軽率なまねが引き起こした不安要素だった。自業自得であれ、安堵しているひばり。

 御影はそっと肩に手を添えてもっと安心させた。

「でもね、まだ終わったと思わないほうがいいよ」佐藤はにらみながらいった。

「どういう意味だ?」警官がいった。

「おれがしっているということは、ほかにもいるってことだ。あんたのことはツイッターの掲示板で見つけた。あんたも見たんじゃないか? それがいったいどういう意味かわかるよな? 付け狙うハイエナはおれだけじゃない。ほかにもいるかもよ」

 ひばりは恐怖が込み上げてきた。

「おまえはいったいいつから、ひばりに付け狙っていた?」御影は時間系列をはっきりさせる必要があった。

「前回と今日の二回だけだ」

 ひばりの顔は蒼白になった。御影も押し黙った。

 ひばりから依頼されたよりも以前からストーカーの気配を感じとっていた。となると、証券会社の面接よりも前からとなる。その面接のときにはじめて付け狙っていたというこの佐藤は、ほんとうのストーカーではない。もっと以前からその気配はあったひばりの感覚を信じるとするなら、ほかにもいる。少なくともあとひとりは…。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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