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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season10-7

   

 ストーカー対策のための恋愛の偽装のような提案を御影はいってしまった。それは断られた。

 傷心した御影は、ひばりの心意について自室のベッドのうえで物思いに耽っていた。

 そこにオババが晩御飯を家族で、と呼びにきた。食卓では探偵についてあれこれと指摘していた。

 家族と将来性について抗議していた。どんなものでも自分が成し遂げたい、決めた道を開拓していく。それが生きがいでもある。

 決められた整った道を歩むことなんて楽すぎて成長の欠片もない。

 いつまでも親のすねかじりで生きていけるほど世の中はたやすくないと、探偵になってからよくわかった気がする。一端に社会人なのだ。

 苦言をする家族に、唯一祖母だけが孫の味方になってくれた。そんな祖母の言葉を胸に熱く感じながら、晩餐はしめくくった。

 ひばりから連絡がった。証券会社から面接が通ったという結果だった。ひさびさに明るい声質のひばりに御影もおおいに喜んだ。

 御影との通話を終えると、こんどはひばりに着信があった。それは非通知だった。しかもいくら呼びかけても応じない無言電話だった。

 それは第二のストーカー犯罪のはじまりに過ぎない警告のようなものだろう。

 

 ふたりは幼すぎた。たがいに好意というものがどういうものかわからなかった。
 でもいまならわかる。それは好意から恋愛、愛情へと変化し進化していく、それが手に取るようにわかるのだ。

 たがいにみつめあうだけでわかる。特に彼女のほうは着眼点が鋭かった。

 それぞれの歩む道がちがっているのだろう。ひばりにすこしでも御影と通じ合う気持ちがあるのなら、状況はいっぺんする。

 ひばりの心には、なにかあるのだろう。大人になって、これまでの空白の年月のせいで、ひばりは本心を話していないのは感じていた。

 ほんとうは好きな人がいて、でもそのひとを危険な目にあわせるのはできない。だから専門的な探偵に頼ってきたのだろうと。御影の家族に頼ってきたのは祖父の頭脳、知識で対処法を伝授してもらおうとしての行動だったかもしれない。

 御影は自室のベッドのうえで仰向けのまま天井を見つめていた。
「やはり、そう考えると、ひばりはひとりで解決しようとしている。じっさい自分の家族にも話していない。警察が本腰を入れないことはわかっている。だから知識と対処のしかたを心得ていれば回避できると思ったのだろう…、しかし」

 幼馴染が探偵をしているとは寝耳に水だったひばり。まさかボディーガードになるとは想像の域をでなかった。

「ひとりで抱えすぎだ、あいつ…」

 ドアをノックする者がいる。御影は応じた。ドアを開けるとそこには家政婦のオババがいた。

「ぼっちゃん、晩御飯の用意できております。みなさんもうさきに召し上がってます」

「そうか、わかった。いまいきます」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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