幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season10-9

   

 スーツに身を包んだ受験者と見間違える恰好で潜入している犯人。御影の目でも見抜けるはずもなかった。

 ストーカー男は独断で追跡してきたとは思えない。

 水桐と川上が監視カメラを確認しに行動していた。御影は遅れをとって大地とともに無鉄砲の探偵ふたりを追った。

 水桐が監視ルームの警備員にむかってあれこれと指示していた。御影はどうして部外者の水桐がここまで幅をきかせているのか疑問だった。

 だが、そのおかげで監視ルームの画像から、ひばりを追跡できた。

 面接を終えたひばりがエレベーターで待っているとき、背後にスーツに身を包んだ男がたたずんでいた。

 この男がまちがいなく第二のストーカーだ。

 監視録画の画面はエレベーター内に切り替わり、ひばりが襲われている映像がはっきりと映っていた。

 だが、警備員は見逃していた。監視モニター画面はいくつもあり、エレベーター内で起きた一瞬のことに目をむける者はいなかった。

 ひばりはストーカー男とともに、地下一階へと降りていった。

 御影たちは急行した。

 

 スーツに身を包んだ男がひとり、御影の目の前を通り過ぎていった。

 佐藤の印象が御影の脳裏に残像として残っていた。スーツを着込んだやつだとは予測していなかった。できていなかった。ほかの探偵仲間ならすぐに気づいて尾行したはずだ。

「ぬかったのは、たしかにおれだ…」

 まさかひばりと同じ二次面接を受ける者がストーカーだとしたら…、この発想はなかった。

 たとえその者がほんとうに受けるわけではなく、怪しまれない格好で混ざっていればこのビル内での行動は不自然ではない。

 人生をしっかりと生きていこうという者がストーカーなどという場違いなことで侵入するわけがない。これも盲点だ。

 受付場所は一階ロビーではない。面接会場の20階だ。そこまでは自由に堂々と侵入できる。スーツに身を包むだけで、違和感を脱ぎさるのだ。
 微塵も目立つことはない。

 こんかいのストーカーはその対処を施して付け狙ってきた。だが、御影のプライベート・アイは違和感があった。名簿を照らし合わせてしっかりと全員が受けて終了していた時刻が記入されていた。

 その男は受付時間を過ぎてから、エレベーターに乗り込んでいった。

「だれかの入れ知恵か?」

「御影くん」大地が声をかけた。「水桐さんたち、監視ルームに突撃しちゃったみたい。監視カメラの映像を強行突破で確認している」

「マジで? 氷室事務所の名をだしたらそこまでできるものなのか?」

「それもあるけど、水桐さんのことだから…」大地は困惑し頭を抱えている。

 強行突破したのは目に浮かぶ。あれこれと押し切って犯罪者が紛れ込んでいることを主張すればいい。あとは襲われた者の身の安否が確認できないのなら、このビルの監視が手ぬるいとって責任をとらせようとするだろう。

「きっとそうやって脅しているな…」

 御影と大地は監視ルームへ向かった。おなじ一階ロビーから通じる扉がある。そこに入り込んだにちがいない。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


コメントを残す

おすすめ作品