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SF・ファンタジー・ホラー

ウパーディセーサ〈二十八〉

   2016年4月27日  

君に足りない物は憎しみだ。憎しみを感じることで、君は強くなれる

 

 
 渋谷駅に着いた僕たちは、ぼんやりと浮かぶ三日月を追って歩いた。
 行かなくちゃ行けない所……それが何処なのか。勇作は教えてくれなかった。黙ったまま歩く勇作を僕は不安ながらも、何故か少しワクワクして付いて行った。酔っているせいなのか、忘れた記憶を取り戻す事ができるのかもしれない。そう思い、僕も黙ったまま勇作の後ろを歩いていった。
 景色は少し変わり始め、都会の雰囲気から外れた。東京という都市は変わっている。渋谷や原宿なんて、一歩道を奥に入れば田舎の匂いが漂って来る。そんな陰と陽の様な表情豊かなこの東京が大好きだ。
 本当にここが渋谷駅なのか。アスファルトに響く車の音が聞こえない。人のざわめきすらない。街灯もない夜の道を闇を頼りに歩き続けた。
「ここだよ、弘平君!」
 そう言い、勇作は立ち止まりそこにある大きな館を指差した。
「えっ。誰の家? ここって、どういうこと?」
 そこにある大きな館は、漫画やアニメに出て来るような立派な洋館だった。正面には大きな門があり、その門には悪魔のレリーフが刻まれている。まるで吸血鬼の館のような、ゴシック調で、闇に溶け込むといったような、なんとも不気味な館だ。
「なんだかおっかないよ、ここに何があるの」
「ここで、弘平君を待っている人がいるんだよ。僕は君をここに連れてくるように、と命令されてたんだ。さぁ、入ろう」
 勇作が何を言っているのか。僕を待っている人? そんな知り合いなんていないはず。それに命令? 何がどうなっているんだ? 混乱している間に、自動で門が開き、勇作が中へ入るようにと促した。言われるがまま、勇作に着いて行き、たいそうな重いドアを開けた。
「お待ちしておりました、緋多弘平様。あちらで主がお待ちしております。足元にお気をつけ下さい」
 執事? ある意味、想像どおりだ。足元? 段差なんてない。何に注意しろというのだ。

 

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