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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season10-12 END

   

 御影は探偵事務所に復帰した。小柴やほかのメンバーがニヤニヤしていた。どうやら水桐らが今回のストーカー事件についてあらましを伝えていたのだろう。

 おそらくひばりについて吹聴しているのがわかる。だが、けっきょく御影はひばりと友達以上恋人未満という関係性を保った。

 がっかりしている探偵事務所の面々。それは御影のほうだった。

 ふたりは恋愛の価値観がちがっただけのこと。どこにでもある男女の関係性だ。とりわけめずらしいことではない。

 しかし、御影の心にはひばりが宿っている。ひばりにとっても幼馴染の御影に好意を抱いていた。

 親友の瀬谷は未遂で終わったが、迷惑をかけてひばりの目の前でナイフを取り出し殺傷する態度をとった。街中でそんなことをされては、さすがに御影も妥協するわけにはいかない。

 川上たちが咎める。そのまま警察に通報し拘留した。

 たがいの意固地な面が恋愛を発展させられないで、気持ちがさ迷っている。

 御影は、おのれの道をブレることなく突き進む決意で、家族、ひばり、探偵仲間にその意思が強固なものであり、活躍することで認めさせようと貫く覚悟を決めた。

 まずは見習いを昇格することで、ひばりと対等になりたい。それが恋愛に踏み込めないでいた。

 御影の片思いはまだまだつづく。たがいに約束したわけじゃないが、その一歩を踏み込むために探偵をつづける。

「第十シリーズ完結」

 

 後日、御影は氷室探偵事務所に顔をだした。出勤という形でもどってきている。

「休暇は終わりました。きょうから復帰させてもらいます。小柴さん、よろしくお願いしますね」いつになく覇気を放つ御影だった。

「元気はよろしい。心も精神も充足しているようね」小柴はにやにやしていた。

 周囲を見渡すと、事務員の女性たち全員が微笑んでいた。

 探偵たちも薄気味わるい顔で笑みを浮かべていた。

 雲田が御影のまえにたたずむ。「ほれ」

「なんですか?」御影は手渡されたものをみた。

「新しい発信機と盗聴器、肌身離さず持っておけ」福笑いのような顔で雲田は笑顔を見せた。

「なにをさせる気っすか」御影は手痛い歓迎を受けている。

「こらこら、きみたち御影くんも彼女がいてもおかしくないのだよ」森谷ははっきりといった。

 御影は瞬時に、水桐、大地、川上、この三人がしっていることだった。情報の共有をしやがったようだ。

「まったく…、けっきょくおれらは付き合ってませんからね」

 話を聞いたかぎりでは、どう転んでも正式交際になったものだと思っていた。

 全員ががっかりしたように首から崩れた。

「なんで?」川上が驚いていた。

「けんかしたか。探偵なんて付き合えないわ。ろくなもんじゃないものね。やっぱり、アハハハハ、とか」火守が茶化した。

「ちょっと、その探偵と交際しているわたしはなんなのよ」火守の恋人、斉藤が目の色を変えた。

「いや、そういう意味では…、あはははは」火守は愛想笑いになっていた。

「どういうことかね?」氷室が唐突に現れた。

「氷室さんまで興味があるんすか…、ひとの色恋沙汰に?」

「じつに面白みのある話ではないか。探偵という後ろ暗い職業に、明るい話題ではないか」

「そうですか、まぁなんというか…」

 御影は説明した。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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