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SF・ファンタジー・ホラー

ウパーディセーサ〈二十九〉

   2016年5月2日  

もしよかったら、コンピューター部に入りませんか?

 

 
 その後、扉を開けると勇作が立っていた。
「改めて、よろしくね。弘平君」
 改めて……そうか、僕はここの戦士になったんだ。何をすればいいのだろう。これまでと同じ生活をおくれば良いのだろうか。
「取り敢えず、弘平君の部屋に案内するね。その後にこの館を案内するよ。生活用品などは全て部屋に揃っているから」
 勇作に案内されて地下へ降りた。その景色は、一階のような華々しさはなかった。地下と言ってもスロープの上に僕たちはいる。その下には何か機械室のような、大きなロケットのような装置が置かれ、その周りを白衣を着た男たちが駆けずり回っている。その光景が僕にとって、新鮮……なんてものじゃない。映画で観るNASAのロケット基地のような、現実離れしたものだった。
「勇作君、これってなんなの? こんなの映画で観るような……」
「こっちだよ! 弘平君」
 勇作はまるで僕の声が聞こえていないような、聞こえていたけど、敢えて聞き流したような。下にある装置や白衣の男たちに興味津々の僕を気にもとめずにさっさと奥へと歩いていった。
 スロープの先にある鉄の扉を開くと、そこにはラウンジのような。自動販売機に、売店。休憩室、バー。あらゆる物が揃っている。豪華客船みたいな感じだ。その先にもう一つ扉があり、奥にはホテルのように長い廊下が延々と続いている。その廊下を歩くこと十分、やっと勇作が立ち止まった。
「ここが弘平君の部屋だよ。これが鍵。ドアノブにかざすだけで大丈夫だから。なくさないでね! 手続きが面倒だから。早速中へ入ってみなよ」
 勇作からキーホルダーのような鍵を受け取り、それをドアノブにかざしてみた。ピピっという音がし、ロックが外れドアノブが回った。思ったより軽く開いた扉の先には、スイートルームのような、一面真っ白の学校の教室くらいの部屋が広がっていた。窓はないが、やんわりと暖かい電球が部屋を照らし。フカフカのセミダブルのベッドの上には、ぬいぐるみが置いてあった。はっと思い、ベッドの前まで駆け寄ると思った通りだ。そのぬいぐるみは、僕の二段ベッドの下にあるぬいぐるみ。暖かな香りのする、いつも抱きしめていたぬいぐるみだった。
「弟のだよね、そのぬいぐるみ。きっと弘平君の大切な物なんだろうと思って、取って来たんだ」
「うん。ありがとう。このぬいぐるみが唯一、僕と弟を繋いでいてくれる大切な物なんだ」
 そう、大切な。大切な思い出。今なら分かる、思い出せる。あの無邪気な笑顔に助けられた愛おしい時間を……返せ! 外道共! この憎しみをそっくりそのままねじ込んでやる……
「そうだ、弘平君。ラウンジにいって呑みながら少し話そうよ! この施設の事や、弘平君の任務の事とか。この部屋には冷蔵庫、冷暖房、浴室、トイレ。全て完備されているから、呑みすぎたって不自由することはないよ。さあ、行こう!」

 

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