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星座アラベスク<6>おとめ座

   

 おとめ座の人は、真面目で熱心な性格である。
 おとめ座の女性は、仕事一筋の彼を支えることで、幸福な人生が送れる。

 

 ある人に言わせると、科学少年は、虫派と星派に分かれる、とのことである。
 そう言われれば、納得がいく説ではある。
 ちなみに、文学少女は、『赤毛のアン』と『みだれ髪』に分かれるそうだ。
 では文学少年と科学少女はどうなんだ、という質問が、当然、出るであろう。
 答えは――、知りません。

 閑話休題。
 三上幸夫は星派であった。
 小学生の頃から、星を見るのが好きであった。
 夜、いつまででも夜空を見上げていた。
 月や星を見ていれば、それだけで満足する少年なのであった。
 誕生日に望遠鏡を買って貰った時は、天にも昇る心地であった。
 月のクレーターが明瞭に見えるのである。
 宇宙の神秘を、垣間見た気がしたものであった。
 子供用の粗末な望遠鏡では、月のクレーターが精一杯である。
 土星の輪や火星の表面など、ぼやけていてよく見えない。
 だが、それがかえって、三上幸夫の夢を支えていた。
 大きくなったら、世界一の望遠鏡を買おう――。
 僕は天文学者になるんだ――。
 学校では、図書館に入り浸り、天文関係の本を読破した。
 普通、天文関係の本は、四季の星座、月、惑星、太陽系、銀河、そして宇宙全体、の順で構成されている。
 三上幸夫が面白いと思うのは、銀河や宇宙の話なのだが、律儀に、最初から精読した。
 天文学者になるには、本を完全に読破しなければならない、と思いこんでいたのである。
 書棚には、《星占い》を書名に持つ本もあった。
 おとめ座の人は真面目な性格である、といった内容なのだ。
 何か変だな、と思ったが、それでも、読破した。
 天文学者になるためには、書名に《星》という語がついた本は、すべて読破しなければならないではないか。

 

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