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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season11-2

   

 怪盗レオパルドを捕獲するためだが、探偵の存在を煙たがる光森警部補だった。
 火守や川上と口論をする。

 探偵というのはただのこじつけ家業のような指摘をするが、氷室探偵社は警察とのちがいについて説明した。
 逮捕以外はなんら変わらないといったもんだから、光森警部補は頭にきてしまった。

 警部もまたそれに乗っかって自分たちの主張をする。が、氷室が代わって探偵の目について自分たちの方が優れている、と子どもじみた反発をする。

 もはや子どもの喧嘩がはじまっていた。が、主催者の宝田が場を静めるほどだが、協力関係は結べそうもなかった。

 その場に御影の姿がなかったが、ひとりでレッド・ダイヤモンドが展示されている場所にずっと魅入っていた。

 吸い込まれるような赤い石には魅力があることがわかった。だが、これをどうやって盗むのか、怪盗レオパルドの挑戦が気になっていた。

 

 こんなことをしたら簡単に足がつきそうなものだが、どういうわけか、科学捜査や鑑識のスキルをもってしても、その手掛かりはない。
 犯行史上類をみないほどの知能犯であるとされ、国際一級犯罪者として指名手配されている。
 これまでも宝石を盗んでいるが、その後の行方や発見には至っていないという。

 今回のターゲットとなるレッド・ダイヤモンドが盗まれでもしたら、国際問題に発展する。それを危惧しての氷室探偵事務所に依頼してきたのだ。

「だったらニュースで宣言しなければいいのに、怪盗レオパルドから犯行予告が届いた、っていっちゃうかね」川上が頭を抱える。

「まったくだ。こちらの調査が後手にまわる」火守が答えた。

「じっさい探偵というのは怪盗相手にどんな手段を用いるのですか?」光森は警察関係者であれば歓迎するも、捜査権限というものが限られている探偵にどこまでできるのか、と指摘しているのだ。

「たしかに我々には犯人逮捕の権限はない」火守が対抗意識を燃やして反論した。「だが、それだけのちがいだ」

 完全に罵られたと感じたのは光森警部補だった。「なんだと、それは逮捕以外は我々警視庁の刑事とかわらないといっているのか?」

「さすがエリート刑事だ。理解力とのみこみがはやい」火守は揶揄するように拍手してみせた。

「おまえな!」光森は一歩前で出たが、寺門警部が片腕で抑制した。

「火守探偵、きみの力量は氷室名探偵に並ぶほどときいている。だが、探偵というのは事件現場を目利きしながらあれこれと難癖つけながら推理するというものだ。幾重にも枝分かれした選択肢を考えぬいて答えにたどる着く、だけの思考力だろ。刑事はもっと感覚が鋭いぞ。直観力が必要なんだ」寺門警部はにらみつけた。

 火守は言い返さなかった。これいじょうはただの口喧嘩だ。

「着眼点で物を言うのであれば、探偵の目の方が優れていると思いますよ」氷室探偵が代わっていった。

「氷室さん…、あなたまで子どもじみたことをいうのですか?」警部は呆れるようにふきだした。

「これまで一度でも逮捕できたのですか?」

「それをいうのか、名探偵ともあろうものが…」警部は鋭い目つきで名探偵をにらんだ。

「もちろん、我々は確実に捕らえるための推理を披露しよう。そのための知恵を従えてこの場にいる。あなたたちも協力を惜しまないように願いたい」氷室は主張した。

 主催のインターナショナル ジャパン タカラダ株式会社、代表の宝田が間に入ってその場を静めることになった。
「まぁまぁ、たがいの立場はわかります。ですが、おたがいに協力してください。さもないと怪盗レオパルドに盗まれます」

「すみません」素直に頭を下げる警部だった。

 氷室が探偵代表として頭を下げ挨拶をした。「はじめまして、わたしは氷室探偵事務所代表の氷室 鉄矢です。今回はこちらの警視庁から要請を受けて怪盗レオパルド検挙に向けて知恵を貸しにきました」

 川上と水桐がふきだした。

「失礼だぞ」森谷が声をひそめ制した。

「期待してますぞ。氷室名探偵。お噂はかねがね、ですが相手は怪盗レオパルド、その素性も正体もつかめないということですが、だいじょうぶですかね?」宝田はやはり危惧している。

「任せてください」氷室は胸を張った。

「もっとも」火守は続けていった。「警察の方が足手まといにならなきゃの話でもあるけどな」

 横で斉藤が頭を抱えていた。また口喧嘩になりそうな雰囲気を吹っかけている。

「このヤロッ」歯ぎしりしながら押しとどめる光森警部補だった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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