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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season11-4

   

 展示場で多くのひとがいたにも関わらず、豹の出現によって展示されているダイヤモンドが煙のごとく消し去った。

 怪盗レオパルドのあざやかな手口に脱帽した氷室。泥棒猫一匹に氷室探偵社のメンバーは屈辱を味わった。

 光森警部補も見逃したというのに、責任を氷室側に押しつけようと文句をたれる。

 監視カメラで場内のひとの動きなどを検証するが、見つからない。どうやって逃げ出したのかもわからない。

 怪盗レオパルドの姿すら見つからない。

 逃走ルートをすべて閉鎖すると寺門警部は発案する。湾岸署の警部に協力を仰ぎ、逃走ルートに検問をはることになった。

 もはや探偵たちの出る幕ないと見限ってさえいた。

 一同が探偵社にもどると、あっというまにニュースになっていた。
 しかしそこでまさかのビックニュースが流れた。

 怪盗レオパルドの捕獲。もしくはレッド・ダイヤモンドの奪取。をした者には懸賞金として日本円で10億円を支払うと名言したのだ。

 今ここに、懸賞金奪取バトルが幕を開ける。

 

 展示場という多くのひとが出入りするなか、12時という大入りの時間帯にもかかわらず、そして探偵や警察の網をかいくぐってなんなくレッド・ダイヤモンドを盗んだ怪盗レオパルド。

 時価日本円価格で500億円。子どもの掌くらいのサイズ。これほど目立つも物を1000人もの警官のすり抜けて逃げることに成功した。

 知能犯には知能で、警視庁の判断は見事に打ち破られた。氷室探偵事務所の面々もなにもできずに失態だけが刻印された。

「くそ、出し抜かれた…」火守は愚弄された気分になった。

 御影は、感じていた。この屈辱的な気分は以前にも味わっていた。
「やはり、あの怪盗は…」

 大地は怒りに満ちている御影を見ていた。「ダメよ、そんなに憤りをあらわにしてはね」

「わかっている」御影は歯ぎしりしていた。

 森谷はそんな御影の姿を見ても、何もいわず黙っていた。敗北を押し留めていた。

 それぞれが視覚能力を発動して、嘲笑いながら去っていく泥棒猫をしり目に負けたのだ。

 探偵たちはそれぞれ知力を持ち合わせて警部たちに助言する。

 展示会場内外の監視カメラを調べた。警官1000人もの総動員にもかかわらず逃げ出せたことに内通者がいないか、警官一人ひとりを聴取した。

「なんですかあのざまは…」光森警部補は名高い名探偵事務所の有能優秀な探偵全員でかかったにもかかわらず逃がしてしまい、宝石も奪われてけっきょく難癖をつけるように警官に内通者がいないか、監視カメラで対象人物がいないかという地味な調査を指示することで面目を保とうとしていると指摘していた。

「あのくらい自分にだって思いつく」

「まぁ、俺もその怒りはあるが、今はそれどころではない。主催者や持ち主の怒りは頂点に達している。こんかいの展示会をぶち壊したのは警官の手ぬるい警備にある。といってきかない。和解するには奪われたものを奪い返すしかない」寺門警部は真剣な顔でいった。

「もちろんです。あんな一般人どもとかわらない探偵なんか信用したのがまちがいです。これからは警察だけで動きましょう」光森警部補が探偵たちをにらみながらいった。

「怪盗レオパルド、けっきょくやつを逮捕することは不可能なのか…」寺門はこれまでの手痛い失敗を思いだしていた。「この屈辱はおそらくやつを檻に入れるまで晴れないだろう」

「獰猛な野獣は動物園で飼育が必要ですね」光森警部補は屈辱に惜し負けまいと減らず口をたたいた。

「寺門警部」東京湾岸警察署の半田 優治(はんだ まさはる 38歳)警部が逃走した怪盗レオパルドの逃げ道をふさぐため逃走ルートに検問を張るよう指示されていた。「道路の封鎖はできません。お客の中でも逃げだしたものはいるようですし、どうしますか?」

「豹の出現で一目散に逃げて会場を飛び出した客もけっこういます。ひとりずつあたるには相当時間がかかります」湾岸警察署の前多 俊毅(まえだ としき 30歳)警部補がいった。

「そうか、でも湾岸署の方たちは、逃走ルートを徹底して捜索してください。このエリアは絶海の孤島。本土に入るルートは限られている。かならずまだこの孤島内にいる」寺門警部は核心を持つようにいった。これは氷室探偵も同調していたことだった。

「まだ探偵たちの発想に共感しているんですか?」光森警部補がいった。

「そうではない。同じ意見にたどり着いただけだ。おまえもそう思うだろ」

「そうですね、レインボーブリッジ、ゆりかもめ、りんかい線、東京港トンネルなど、あと船も…いずれかのルートしかないとは思いますが、滞在しているという考えも…」

「どこに潜んでいるか…、その方が逃げるにはもってこいかもしれない。仲間がいればそいつに頼んでどこかの部屋に引きこもって数日やり過ごせばいいだけだ」

「大江戸温泉で寛いでいるかもしれませんよ」光森警部補が笑っていた。

「おまえな」警部はにらんでいた。「とりあえず検問が一で二は滞在場所にあたりをつけよう。ここ数日の滞在している客でなにか目撃情報を得るしかない」

「はい、そうしましょう。探偵がいかに役にたたないか思い知らせるにちょうどいい」光森はまた探偵たちをにらんでいた。もはや情報の共有はする気もない。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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