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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season11-5

   

 一般人が情報を求めるように駆け回っている。ニュースを見て躍起になっているのだろう。目の色変えてハンターのようになっていた。

 どこを捜してもみつからない。当てがない。見当もつかない。それが怪盗レオパルドの特技とでもいうのか、忍び足で逃げられてしまった要因でもある。

 街中で出会ったとしても、おそらく見過ごしてしまうような人物だろう。

 警察の捜査は一般人よりも薄いものだった。警察は懸賞金を手にすることはできないが、何らかの方法で賞金を得ようとするものが少なからずいる。

 探偵社でも人生を変えるビッグチャンスなのだ。

 氷室は三つのチームに分かれて、汚名返上するために捜索を開始する。氷室チームにはめずらしく小柴まで同行させたのだ。

 新橋駅付近を受け持った御影と水桐と雲田は意外な人物に遭遇した。
 会いたくもない嫌な人物と出会ってしまい、水桐は舌打ちがとまらないほどだった。

 だが、この男との遭遇によって事態は大きく変化する。

 

 一般人は徒党を組んで怪盗レオパルドを捜している。むしろ警察の方が後手になっていた。一般人からの目撃情報やインターネットで情報共有している内容をくまなく調べては、警官に捜索するよう命じていた。

 寺門警部も光森警部補と覆面パトカーで追っていた。宝田とサイエフに信頼回復のため躍起になっていた。たまに一般人を恫喝するときもしばしばあった。

「いったいどこを捜せばいいんだ?」光森警部補が呆れていた。

「雲隠れしてたら意味はない。手掛かりがないのだからしかたがない。むやみに捜す。ばったりどこかで遭遇するかもな」寺門警部は捜査は足で、というのをモットーにこれまで警察業をして警部までのしあがった。けっしてらくな道ではないが、これが刑事としての在り方として後輩に教示する。

「おーい! なにか情報はもってねーかおまえら!」

 恫喝している男がいる。一般人はI-Padを手に持ち情報収集している模様だ。

「おい、あいつらどっかで…」寺門は目を細めて、恐喝している現場を見た。

「やめろ、そこ」光森警部補がすぐに割ってはいった。

「んだコラ!」と目が合ったとたん、たがいの存在を理解した。

「あんた、築地警察署の朝永 源一(ともなが げんいち 38歳)警部でしょ。一般人を脅してなにしてんすか」

「関係ねーだろ!」

「すみません」横には内筒 宏(ないとう ひろし 27歳)警部補がいた。「怪盗レオパルドを追っているんですけど、警部が懸賞金に目がくらんで、一般人に情報を求めてたんですが…」

「相変わらず、恫喝警部の異名は健在か」寺門警部はいった。

「警視庁の寺門警部…」

「そうか、懸賞金目当てか、だが警察は受け取れないぞ」

「一般人になりすませてせしめる計画です」内筒がくちを滑らせた。

「いうなよ、おまえな!」朝永は声は静かだったが、眉間に皺を寄せ、歯を見せてガンつけていた。

「身内にまでその顔はやめろって。だが、その様子だと手を尽くしても検討もつかないといったところだな」寺門は見据えていた。

「まぁ、そうですね」朝永は素直に認めた。

 一般人はその隙に逃げおおせた。朝永は舌打ちをしていた。

「権利はないからな。そこだけ肝にめいじておけよ」寺門は注意した。

「そうですよ警部殿、警察の威信がかかってるんですから。歪ませないようにしてください」光森警部補がまさかの叱咤を朝永にする。

「この若造め…」だが言い返すのをやめた朝永だった。奥の手があったため、どうでもよかった。

「まったく」内筒が呆れていた。「もし捕まえても、一般人か探偵に頼んで捕まえたことにして、マージン部分だけ払って残りの大半はご自分の懐に収めようって考えは黙っておきましたよ」

「そうだな。その方がいい。よけいなこというなよおまえな!」

「水桐探偵から協力を頼む気でしょ?」

「どうかな、でも今回はあの探偵事務所も駆り出されていたのに、失敗した。落ち込んでいるんだろうな」大笑いしている朝永警部だった。

「やれやれ、付き合う部下の気持ちになってください」内筒はいつも世話を焼く側だった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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