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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season11-6

   

 御影たちと出会った遠藤は無線傍受の例の違法な盗聴をいまだにしていた。
 趣味ならいいだろ。と主張するも、犯罪スレスレであることの認識の薄さに御影は以前、手痛い思いをしたことを思い出させようとしたいところだが、まさか手掛かりがあり、御影の推理に一役買うことになる。

 雲田がI-Padを適度に操作し、ある掲示板に目をとめる。一般人でも情報の共有をしている。

 氷室たちが展示場内で警備していたとき同じく、怪盗レオパルドの犯行予告時間帯に展示場内にいた女性が書き込んでいたものだ。

 怪盗レオパルドの正体。もしかしたらあのひとだったのでは?

 それだけ違和感を持っていたという内容に、信ぴょう性の高さがうかがえる。しかし、キーワードが暗号化されていて掲示板の仲間しか閲覧できないようになって虫食いの文面が網羅されていた。

 遠藤は罵るかのようにこんな情報意味はないと吐き捨てた。

 御影には見えている。そしてキーワードの前後の文面から推測し、解読していく。

 探偵なら推理するものだと、遠藤に指摘する。

 

 遠藤は無線傍受の盗聴で怪盗レオパルドと思われる内容の会話を盗み聴いた。
 御影たちはその内容を聴いて、たしかにそのとおりだと認めた。氷室探偵事務所の面々が東京ビッグサイトでの警備をしていたさいの失敗した後の会話も聴いたという。

 そこまでピンポイントで盗聴できるのは不思議だが、それだけこの遠藤という陰湿極まりない犯罪スレスレの小男の手柄であるのには否めない。

「ちっ」舌打ちがとまらない水桐だった。

「あくまで趣味だから…」遠藤は仕事に結びつけなければいいんじゃないか、ひとりでたのしむ分にはいいでしょう。と開き直っていた。

「水桐さん、もうそのひとには用はない。急いで今の情報を元に調査しよう」御影は先を急かす。

 水桐は反対する意見はない。むしろ同行者と思われるこの状況の屈辱ときたら耐えがたいものがあった。それが晴らせてスッキリできるというものだった。

「ちょっと待ってよ、それはないんではないの?」遠藤は三人の背後に迫った。

「なにが、近寄るな!」水桐の怒号はやまない。

「とびっきりの情報を教えたんだ、ここは一致団結して協力しあおう」遠藤は瞳を輝かせた。

「なんだと!」水桐の堪忍袋の緒が切れる寸前だった。

「そんなに来たいなら、来てもらおう」雲田が賛成した。「このひとの違法盗聴はあとでしっかりと叱咤するとして、じっさい日本じゅうで最有力の情報をもっているのは、この四人だけ。これから氷室さんたちに情報は共有するが、それでも少ない。どう判断するか指示を待つが、まだ利用価値があるかもしれない」

「こいつにか」水桐は呆れていた。

「でも、一利あるんだよな、これが…、わかっていて俺は無視して先を急ごうとした。予測できる交渉がいやだから…」御影は何かを案じていった。

 遠藤はうなずいていた。「ひとりじゃ、怪盗レオパルドに返り討ちにあいそうだ。しかも仲間がいるのは明白。あんたらと一緒ならだいじょうぶかもね。懸賞金は山分けってことでいいでしょ?」

「やっぱり、自己中心的な防衛法だ。それとえげつない報酬の取り分を要求している。身勝手な」御影は察したとおりだった。

「ほう、それで山分けの取り分は?」水桐は、眼光が鋭くなった。その目つきだけで半々以下に自分たちになった場合、この場で始末しようと伺っている。

「あ、そうだね…えーと」遠藤は半々といっていいのか、それとも六四くらいが妥当か、天秤にかけていた。己の身の安全を優先しながら秤にかける。

 御影が耳打ちした。「ついてくるなら、八二だ」

「え、それはちょっとひどくないっすか!」遠藤は御影に顔をむけた。

「なんだと!」水桐がドスの聞いた低い声でうなりあげた。

 遠藤は完全に怯んだ。展示会に出現した豹のようにおののかせるほどの凄みがある。と御影が感じた。

 案の定、遠藤は、八二で手を打った。

「九一だ、バカたれが!」水桐はもっと凄惨なことをいった。

「そんな殺生な…」

「まさに殺生となるか!」水桐の目は血走っていた。これいじょうの対話、交渉を続けるものなら遠藤をレインボーブリッジから海へとダイブさせようと提案した。

「わかりました。九一で問題ないです。一でも一億ですからね、これはすごい。ひとりで独占だ。一億…、はっはははっは」力のない笑いをしている遠藤に、同情はできる御影だった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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