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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season11-7

   

 遠藤が盗聴した声は女であるという。そこでもたしかに裏づけられる内容が、掲示板での解読した内容と合致するのだった。

 それは確信であり、まちがいない。遠藤の盗聴した声を信じるに値する内容は怪盗レオパルドの潜伏先を示しているのだ。

 電話している相手の人物像も大まかな見当がついている。相棒の男と、依頼人である男。

 遠藤の盗聴した内容をすべて聴いた御影は、推理するだけの材料が集まったのか、パズルを組み合わせていく。
 むしろそれだけで解き明かした御影に、唖然する水桐たちだった。

 東京ベイ有明ワシントンホテル。東京ビックサイトから徒歩で5分もかからない場所にそびえたっている。

 見上げている御影チーム。すでに宿泊者は警察が身元も確認し、怪盗レオパルドが潜伏している可能性はゼロだった。

 御影はここにいる、と見つめているのだ。しかも部屋番号まですでにわかっていた。

 根拠のないことにどうしてわかるのか、それが信じられないと思っていたが、部屋のドアの前まできて水桐たちはなにかをひらめいたかのように御影の推理力がここまでつなげたのには驚きを隠せなかった。

 部屋から出てきた人物は、御影にとっても知っている人物だった。

 

 遠藤が盗聴で聴いた声は女だった。いくぶん若そうな声だった。電話の相手との通話のさい、こんなことをいっていた。

“失敗した。来客の恰好なんだけど、みんな正装しているのよ。きらびやかなドレスとかタキシード。警察やその警備する関係者くらいよ、スーツや普段着でいるのは…、失敗したかも…。ちょっとだけ目立っている。視線を浴びている。揶揄されているという意味でね。どうしたらいい?”。

 来客の女性がとくに視線をむけていた。
「入場した一般客に原宿みたいなギャルがいるの、逆にダサくみえてくるわ。あっははははは」

「ほんとうね。ちょっとやめてほしいわね。考えてくれなきゃ、私たちまで恥ずかしく思ってくる。見知らぬひとだけど…」

 女性たちの声と視線がその人物に向けられていた。

 電話口の相手は大人の男の声だった。
“今となってはどうにもならない。無難な恰好というので目立たないファッションで出向いたあなたのミスです。もっと用心して観察しなかった手痛いことですが、毅然としていればいい。ほんとうにそういうタイプの女性客を装うこと。少なからず視線はそれる。時間になればそんな記憶を払拭するほどの脅威が出現します。だいじょうぶ。記憶は上書きされる。強烈な豹によって”。

 12時になって豹が出現した。騒然となって地味で場違いな女子の存在は一瞬でだれの記憶からも消え失せた。

 懸賞金のことで会場内に怪盗レオパルドがいたという記憶をお客たちは思い起こしていた。

 それでクルミの殻の中に閉じ込められた固い殻が砕け思いだすきっかけを与えたニュースの懸賞金報道。

 SNSではその女子が浮上した。

 確証のない書き込みだが、振り回されることが大半である。しかし信じられることもある。裏づけはすでにとれている。

 遠藤という姑息で小ずるい探偵が盗聴という違法な手法で得た情報に、怪盗レオパルドは生音声を届けていた。

 怪盗レオパルドと思われる本人が携帯で通話をしている内容が飛び込んできた。
「成功した。いい? この物を引き取って、もう後戻りはできない」

 相手の男の声。「わかった。もちろんだ。よくやった。ご苦労さん」

 そのあとは、怪盗レオパルドが衣装について失敗談を語っていたという。

 どんな人物か遠藤は見当もつかない。だが仲間というより怪盗レオパルドに盗難するよう依頼した人物といった関係性のある会話だった。

「こちらは、仲間に拾ってもらって逃げるから問題はない。逃走ルートほど頭を悩ますものはないけど、逃げることにかけたら私たちは考え尽くしているから」

 電話の相手以外に仲間がいる。

 怪盗レオパルド、いまどこにいるのかだが、御影は見当がついてしまった。

「そうか、わかったかも…」

 水桐、雲田は唖然としていた。遠藤はアホ面さげたまま笑っていた。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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