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ハートフル

モモヨ文具店 開店中<20> 〜おりがみ手紙〜

   2016年5月20日  

想い人と交差するとき、人から思われるとき、人にはいろいろ時があるけれど、今回は想いの話。
いったいわたしたちはどうなってしまうのかしらね。
『おりがみ手紙』どうぞごらんください。

 

 
おりがみ手紙

「日曜に下の町に用があるけど、一緒に行く?」
 モモヨさんが直くんに声をかけたのは金曜日も終わりに近づき、そろそろ土曜日に変わろうかという頃だった。
 今日の直くんはナオちゃん姿で、長い髪の毛を後ろで束ねてアップにしていた。ハートとスペードの描かれたTシャツにジーンズ。つっかけは女物。このごろ女物でも大きなサイズが出てきたからありがたいらしい。
「店はどうするんです」
 よいせと三列並んだアクリルケースを動かしながら、ナオちゃんは尋ねる。モモヨさんが自分を誘うことは珍しくはなかったが、二人揃ってというのはあまりなかった。
「昔なじみの友達が〈こっち〉におりて来るから、手伝ってもらう」
 そんなに長い時間じゃないしねと付け加えるモモヨさんに、直くんはちょっと意外そうに笑った。
「モモヨさんでも苦手な人、いるんですね」
「苦手なんかじゃないよ、別に」
 言うモモヨさんは、肩をすくめてみせた。
 モモヨさんは苦手な人に会わないために店を空けることにしたのだろう。自分まで連れていくのは一人だと心細いからだろう。
 そう結論づけた直くんは、そういうことにしておきましょうと頷いた。
「いいですよ。その日は夜のバイトも入っていないから下の町でしばらく時間つぶししましょうか」
 そうしてもらえると助かるわぁと直くんを拝むモモヨさんは、正真正銘困っていた。

 

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