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SF・ファンタジー・ホラー

ウパーディセーサ〈三十七〉

   2016年5月27日  

誰かが僕に馬乗りになっている

 

 
「でだ! 色々と調査した結果、お前に-発信の電波は本来の威力を発揮しない。これはあくまでも仮説なんだがなぁ。奴らは二回だけお前に-発信している。だが、お前を狙ってるとすると少なすぎるんだ。それに敵もお前が逃避行した場所まで把握できなかった。それが、携帯の電源を入れた瞬間の津波だ。これは意図的と考えて間違いない。俺たちもその電波を辿ってお前の元まで行けたわけだし、相手もお前の行動を監視しているってわけだ。内通者がいなくなったものの、必死でお前を探している。相当しぶといな」
 いつもの風景。半年ぶりの基地での宮守の話。思わずほくそ笑んでしまいそうになる。まさか戻って来るとは思わなかった場所だからだ。平山は宮守の隣に立ち、鏡が隣に座っている。
 ここが僕の居場所だったんだ。あの時の僕は気が動転していた。なんであんなことを……
「大洋村の損害は大したものではなかった。それに人民の被害が皆無だったと言えよう。しかし今回の件で分かったこと、確信したことは眇寨を狙っていること。そして敵はあらゆる手段を用いて殺しにかかるということだ」
「待ってください。それと津波と何の関係があるっていうんですか?」
 そうだ。災害を矛に使うなんて到底無理だ。
「いや……可能なんだよ、眇寨」
 平山がゆっくりと咳払いした。
「地震てのは、いわゆる電磁波で起こすことが可能なんだ。某国の軍事施設には、もうそういう兵器が備わっているんだ。エジソンの弟子が開発したのだが、無線でエネルギー供給ができる装置。それを使えば、空飛ぶ円盤に膨大なエネルギーを送ることができる。それを地球の電離層にぶつけて跳ね返させれば、ピンポイントで地盤を狂わすことだってできるんだぜ。敵は侮れない。俺たちの二歩先、いや。一回り先をよんでいる」
 なんだってこの僕を……僕がいったい何をしたっていうんだ。
 僕がしたこと……そうだった。僕は人殺しだったんだ。でも、それとこれとがどう関係あるっていうんだ。
 いや、それとも。全て繋がっているのかも知れない。結節点。それを辿らないとどうにもいかない。
 しかし久しぶりの基地だ。心休まる、とまではいかないもの、何故だか心地よく感じる。
「眇寨君、あのね。前に話したいことがあるって言ったよね。覚えてる?」
 鏡の発言は大胆だった。確かにそう言ったことを、話があるということは覚えている。しかしいつだったっけ。忘れてしまった。だが鏡の話の腰を折ってはいけないと、相槌を打ってしまった。
「あっ、あの話ね! 覚えているよ。どうかしたの」
「ううん、なんでもないの。ただ覚えてるかなぁ~なんてね!」
「ははっ。大丈夫だよ。俺は普通の人間。小山眇寨なんだから、そんなことよりも、平山さんの開発は凄いよね! リードセルからあんなタイムマシンみたいな物を作っちゃうなんんて……タイムマシン? そうだ!」
「えっ、どうしたの眇寨君?」
 僕は自分の思いつきに興奮を抑えられなかった。平山ならできる。過去につなぐための装置を作ることが。僕は平山のデスクへ駆け出した。

「どうした、眇寨! そんな蒼い顔して、この施設内駆け回ってもそんな顔にならねぇぞ!」
「はぁ、はぁ……平山さん……タイムマシン作って!」
 さすがの平山も腰を抜かしたようで、なんとかデスクによじ登ってきた。
「なにを言い出すかと思えば、タイムマシンだって? それは無茶にきまっている……だろう……?」
 いや、平山の中に考えはあったのだろう。否定はしない様子だった。
「できますよね? 俺、良い案を思いついちゃったんです!」
「できないってわけではないが、作ってどうするんだ。いい考えって?」
「皆んなを集めます! そこで俺の作戦を皆んなに話します」
「分かった。宮守には俺から伝えておいてやる。何か準備が必要か?」
 準備? そんなもの必要ない。きっとこれで全てが解決するんだ。

 客間にゾロゾロと職員たちがやってきた。宮守の表情はやや自信なさげに見えたが、平山はいつものようにフラフラとしている。宮守が前に立ち、咳払いをした。
「え~っ、眇寨から話があるそうだ。皆、聞いてやってくれ」
 宮守が僕に前に立つように催促した。

 

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