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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season11-10

   

 氷室チームが調査しているとき、小柴がある情報をつきとめた。それはサイエフの自国での事業が悪化してしまったことにはじまっている。

 株が暴落して経営が傾いていた。すべてがレッド・ダイヤモンドを500億円という破格の額で落札した道楽が原因となっていた。世間からの罵声を浴びてしまった。

 そんな事実はしらずに、日本の宝田氏が宝飾展示会でそのダイヤを展示したいと依頼がある。
 これを好機にするため、サイエフはただ世間にみせびらかせるためではなく、ある計略が潜んでいた。

 怪盗にレッド・ダイヤモンドを盗ませるという偽装工作だ。盗まれることで保険金が降りるようになっている。
 かなりの多額の保険金だ。傾いた経営を建て直すことが可能なため、日本を舞台に怪盗レオパルドと連絡をとるため捜した。そして窓口の者と連絡がとれた。怪盗レオパルドの相棒と名乗る者だ。

 さらにいえば偽装工作なためレッド・ダイヤモンドはサイエフ氏にもどってくる。損がまったくない計略だった。

 小柴のファインプレイによって、サイエフ氏を捕獲するために氷室たちは動いた。

 フジテレビへ…。

 

 氷室チームが調査しているなか、同行している小柴と斉藤は動かない。

「ちょっとは協力してくれたまえ」

「どうのみち足を動かしてもむだだと思います」小柴は氷室の探偵術を否定した。

「小柴さんでもそれはいってはいけないな」火守は尊敬する氷室を否定した怖いもの知らずの小柴を注意する。

 斉藤は黙っていたが、どっちつかずの立場だ。火守の恋人で、後方支援事務員の上司でもある小柴だ。なにもいえない。

「私は調査は苦手です。いくら知識があっても現場での行動力は無にひとしい。だからおふたりにお任せします。私は私なりの調査をしておりますので…」

 斉藤も同じだったが、ふたりの手にはI-Padをもっていた。ずっと画面を指が走っていた。何かを調べている様子だったのを氷室は認めていたが、外に出たら聞き込みや目撃情報などをしらみつぶしにするのが鉄則。人海戦術が有力な手段だった。

 小柴は動かざること山のごとし。

 武田信玄の格言がここで生きていることを、氷室は目の当たりにする。

「それよりみなさん、この情報をみてください。斉藤さん、この画面まで移動して火守探偵に閲覧してもらって」

「はい」斉藤は言われるがままその画面までいけるキーワードをブラウザに入力し検索してみた。

「なんだ、これ…」火守はみた。「なに?」

「なるほど、サイエフ氏のことを調べていたのか。ほうほう、わが国に滞在しているから見逃していたけど、まさかそんな事情が裏にあったとはね。さすが後方支援のエキスパート、小柴さんだ。見事なファインプレーです」氷室は脱帽していた。

「たまにはね」小柴は鼻もちならない態度でほくそ笑んでいた。

 アメリカで不動産王となっているサイエフだが、昨年、レッド・ダイヤモンドをサザビーズのオークションで500億円で落札したが、これが目の上のたん瘤という結果になった。

 思いあがった道楽が、世間から批判されていた。そんな嫉妬めいたせいで株価は暴落していた。

 手放すのも、一度ついた不吉な印象のレッド・ダイヤモンド。まるで持ち主に災いが降りかかるというゴシップが流れてしまい、買い手はない。そこで、大博打を打ったのが、今回日本で行われる宝飾展示会への参加。目玉としてこのレッド・ダイヤモンドを展示させてほしいと依頼がきた。

 サイエフの噂が低落しているとは知らずに、主催者の宝田は日本では物凄い大金で落札したレッド・ダイヤモンドをひと目みたく展示させたいと依頼する。

 見事展示会は成功したが、サイエフのたくらみはその裏にあった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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