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不思議なオカルト研究部 第五話 美也の兄

   

 夜の十一時、Barオカルティズムでの歓迎会が終わった。宴の終わりを告げたのは酔い潰れた二回生、石動美也の、テーブルを真っ二つに割る空手家の頭突きにも似た寝落ちと、カウンターの奥から聞こえるカルマのすすり泣く声だったと言う。

 美也を送り届けることになった直也は目覚めた彼女から『今はいない兄』の話を聞くことに──。

 

 夜の十一時、Barオカルティズムでの歓迎会が終わった。宴の終わりを告げたのは酔い潰れた二回生、石動美也の、テーブルを真っ二つに割る空手家の頭突きにも似た寝落ちと、カウンターの奥から聞こえるカルマのすすり泣く声だったと言う。
「この子、一度寝ちゃうとなかなか起きてくれないのよねぇ」とは、三回生、緑ヶ丘翠の言で、ならばと石動を背負った直也は足腰をぶるぶると震わせながら雑居ビルの階段を下りた。
 それに続いて、依然として酒を所望して憚らない緑ヶ丘、某漫画のゴム人間が宴の度に見せるような膨らんだ腹を抱える四回生、柳田邦彦が屋外へと顔を出した。二人と背負う一人はそれぞれに帰路を歩きはじめる。が──
 からかうような言葉が直也の背中に降った。
「じゃ、たっぷり送りオオカミしてちょうだいよー」
「なっ──!」
 顔を酒の所為ではない赤に染めて振り返る直也に、緑ヶ丘が満面の笑みで手を振っている。
「そっ、そんなんじゃないですから!」
 咄嗟に言い返す直也の言葉は聞こえたのか──後は我関せず、緑ヶ丘は軽い足取りで去って行った。柳田はとっくに道角を折れたのか、もう姿は見えない。
「まったく……」
 直也の携帯電話が鳴った。
 奔放極まりない先輩達に溜息を吐いて、直也は石動を背負ったまま折り畳み式の携帯を開く。今し方受信したメールは緑ヶ丘からで、石動美也の住まうアパートの地図が添付されていた。

 

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