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星座アラベスク<11>みずがめ座

   

 みずがめ座の名前は、古代メソポタミアの雨期に関連して名付けられたとされている。
 いちばん明るいアルファ星は、千四百光年の距離にあり、太陽の一万倍の明るさを持つ。

 

 米国空軍のサドラー少佐は、宇宙航空研究所の屋上へ出た。
「もうすぐ始まるぞ」
 サドラー少佐は、期待に心が弾んだ。
 眼下には、ユーフラテス川が流れている。
 大きな川の対岸は、スペースシャトルの発射基地であった。
 十基のガントリーが夜空に屹立している。
 その一基にはスペースシャトルが備え付けられていて、サーチライトで照らされている。
 サドラー少佐が見ていると、ロケット・ブースターの下部に閃光が走った。
 轟音が鳴り響く。
 そして、ガントリーは白雲に包まれた。
 周囲は真昼のように明るくなる。
 ゆっくりとスペースシャトルが昇り始めた。
 次第に速度を速める。
 三十人の乗組員と五百トンの貨物を宇宙へ送り出す巨大なスペースシャトルであるが、その大きさに似合わない速さで上昇を続けていた。
 ロケット・ブースターの白熱の炎が、オービターを楽々と持ち上げているのである。
 サドラー少佐が見上げるうちに、スペースシャトルは夜空へと突き進んで行く。
 そして――、ブースターの炎だけが見えるようになった。
 夜空の星々を睥睨する大きな火の玉である。
 サドラー少佐は、満足した。
 何度見ても感動する光景なのであった。

 

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