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ラブストーリー

カセットテープ

   

『カセットテープ』……SF研で唯一の部員となった僕のもとに一本のカセットテープがやってくる。
かつて新聞部でとりおこなわれた「怖い話」が収められていた。
テープは「さよ」というひとりの少女を巡る話だった。
テープを聴いていた僕にもやがて異変が。そして家族を巡るひとつの解決が。

 

 先輩の卒業を機に、新二年生の僕が部長となったSF研は新入生が入ってくることもなく静かにその歴史に幕を降ろそうとしていた。誰か奇特なやつがいればそのうち復活するだろう。
 そんなことで新学期早々暇をもてあましていた僕は、古今東西の名作SFがひしめき合った部室を掃除していた。
 とかく本と本棚は埃をかぶりやすい。狭い部室に五本も本棚があるとそれだけでくしゃみが止らなくなる始末だった。
 本の天と棚をから拭きで丁寧に拭いていく。――そういえばこの間、ハンドタイプの埃取りが欲しいと申請したが顧問の吉原は「自分で買え」と無情にも切り捨てやがった。部費はどうした部費は。まさか自分の飲み代に使ってるんじゃないだろうな。
 愚痴りながらもがたついた椅子を踏み台にして一番古い本棚の最上段を拭く。と、手にかつんと何かがぶつかった。つま先立ちになって覗き込んだ最上段に、埃をかぶったカセットテープが置いてあった。
 カセットテープなんて骨董品をこんなところで見るとは思いもよらなかった。古ぼけた90分のカセットテープは行儀良くプラスチックケースに収まり『取材 1』とだけ書かれたシールが貼られていた。
 取材? この学校に取材をするような部活が昔あったんだろうか。――新聞部とか? 新聞部がどんなことをするのかすら見当がつかないけど。
 掃除に飽きていた僕はあっという間に古ぼけたカセットテープに目移りした。掃除を投げ出すと職員室からカセットレコーダーを借りて、再生ボタンを押した――

「――1996年石下見高校新聞部部長、2年9組の東 由紀です。今回私に1年5組の馬庭 薫君が変わった話をしてくれるということで来て頂きました。――では、馬庭君、どうぞ」

「はじめまして。馬庭 薫です。東先輩がこういったことに詳しいと聴いたので、それをお話しようと思います」
「こういったことって?」
「不思議な話です。東先輩、詳しいって聴きました」
「たしかに調べてはいるけど。――で、馬庭君の話はどんなもの?」
「小学校であった話です。一人の仲のいい女の子の話です……」

 

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