幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season12-9

   

 キサラが出演する番組がはじまった。ゲスト出演して女優としてカメラの前に姿を現した。

“注意せよ”、それはなにを示唆しているのか。御影、小柴は周囲への警戒を怠らない。

 司会の男性にADが小包みを運んだ。真野はたまに番組内であるというが、これに御影と小柴は胸騒ぎを覚える。

 包装をはがすと青、黄、赤のカラーの小包みの箱が露わになり、キサラの顔は恐怖した。

 御影は出演前に注意をうながした。だが、キサラの見事なまでの覚悟は女優としての顔で命を散らしたい、と懇願する。それは本物の女優だと認めざるをえない。

 止めることはできなかった。いま、キサラは命の危機に晒された。

 御影はスタッフに止められ吠えることしかできなかった。だが、司会の男性の手のなかにある箱が破裂した。幸いキサラまでは被害には合わず、男性だけが白い粉塵まみれになって赤い薔薇が舞い散り、それは見た目としてとても羞恥を浴びるような光景だった。

 その目的はいったい…。

 そして犯人とおぼしき者が逃げる。御影は全力で追いかける。近くの廃ビルにその人物は逃げ込んだ。

 そこでついに対峙することになる。

 

 生中継がはじまっている。キサラはすでにゲスト出演をしてカメラの前で女優の顔になっている。

 御影と小柴はカメラの死角で待機していた。もちろん真野もその近くにいる。

「とりあえずなにもなさそうだな」御影は言った。

「ええ、でも油断は禁物よ。玉砕覚悟で狙ってきたら私たちだけじゃ防ぎようないのよ」小柴は言った。

「氷室さんはなんて?」

「いえ、まだなにも…」

「無事に撮影が終われば一安心ですね」御影は気楽に言った。

 小柴はそれにはなにも答えなかった。

“注意せよ”、御影もそのことは脳裏に焼きついているはずだ。だからさっきからずっと顔が強張っている。警戒という緊張感から周囲への観察を広げているのだ。

 司会の男性とアナウンサーがゲストのキサラ含め数名に話しを振っていたさなか、アシスタントディレクターが小包みを運んだ。

 御影はいまのはなに? と真野にたずねた。

「たまにあるのよ、ゲストにプレゼントを贈ることって」

「だれから?」御影は胸騒ぎを覚えた。

「え?」真野は御影の不安で真剣な顔に驚いていた。

「見て」小柴が指さした。司会の男性がアシスタントディレクターが手渡した小包みの包装をはがす。

 司会の男性が言った。「これはキサラさん宛てに来ているよ」

“注意せよ”。青、黄、赤のカラーの小包みの箱が露わになった。

 キサラの顔が恐怖に色に変わった。

「注意しろ!」御影が吠えた。「逃げるんだ!」

 あの手紙の意味はおそらく爆弾が仕掛けられている。だがもしあれがなにかを案じさせるための留意のようなもので、助言なのかもしれない。

 女優をとるか、命をとるか、ふたつにひとつということだ。

 御影はキサラに最後の注意をうながした。

「生きていればまたチャンスはある。女優だけがすべてではない。命を落としたらもう舞台には上がれない」

「私は女優よ。未熟で新人かもしれない。それでもこの命落とすとき、女優の顔でこの命を散らしてあげたい。私の心の中の女優魂の声が叫んでいるわ」キサラは微笑んできらびやかな輝きを放って堂々と生放送であるカメラの前へと歩を進めた。

「別人だな、まったく…」

「女優としての仮面をつけたら化けるのね。彼女は本物の女優よ」小柴はやけにキサラを褒めた。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


コメントを残す

おすすめ作品

見習い探偵と呼ばないで! Season11-9

見習い探偵と呼ばないで! Season14-12 END

見習い探偵と呼ばないで! Season14-10

『蒼色推理』−雪銀館事件− 第二章「雪銀館到着、そして」 1の3

8月のエンドロール 1