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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season12-10

   

 氷室に連絡が入った。御影たちがボディーガードしているキサラの状況だった。

 茂呂警部も事態を把握し、氷室に相談する。

 紙永が犯人であれば、丸美社長を爆死させるというのには無理がある。警官が周囲を警戒し荷物検査もしている。とりあえず社長は爆死するようなことはない。

 だが、社長は頭を抱えていた。姫田に裏切られたことで逮捕は免れない。インサイダー取引の首謀者は社長である事実はまちがいない。

 姫田はもっとショックなことを言う。提携した株式会社飛駒商事と株式会社YUJIN建設がターゲットだという。

 その直後、二度の爆発の振動が氷室たちの感覚につたわった。

 志麻巡査長の無線に情報が入った。それは提携先の会社二社とも、社長がそれぞれ爆死したとのことだった。

 氷室はその元凶を作り出したのは秘書の姫田だと指摘する。丸美社長も手錠をされて連行されていった。

 氷室の携帯電話に雲田からメールが届いた。それは御影と小柴が犯人を追走した後の雲田からの推理だった。

 御影たちは完全にピンチだ。

 

 氷室のところにも連絡が入った。女優のキサラが生放送中の番組に出演しているが、その司会者が爆発物で吹き飛んだと。だが、それは誤報で、白い粉塵と薔薇の花びらが舞っただけだった。ドッキリ級のいたずらと思われた。が、御影がその場にいたことでこれは氷室がいまいる丸美出版社の爆発事件と同一人物による犯行である、と指摘した。

 警察はその通報を受けて茂呂警部まで連絡があがってきた。

「どうしますか氷室名探偵…」茂呂は氷室に相談を持ち掛けた。

「紙永らしき人物が現れたということです」氷室が言った。「おそらく丸美社長が爆弾で死ぬことはないでしょう。これだけ警官がこの場にいるのですから近づきようがない。爆発処理班が荷物検査もしている。安全ですよ、いまはね」

 丸美社長は頭を抱えていた。

 姫田が内通者で社長を裏切ったからだ。

「姫田さん、ほかに爆弾を仕掛けるつもりはあったのですね?」

「ええ」姫田は答えた。志麻巡査長が肩を押さえていた。逃げないように。両手首には手錠がされているが、連行するにはまだ情報を隠しているのではないか、と氷室が茂呂に助言し事件が終わるまでこの場においておく必要があると言ったのだ。

「とりあえず、提携した会社は、ボンッ、ね」姫田は唐突に言った。

「それって…」遠山が言った。

「まさか」林が声を漏らした。

「提携した会社、つまり株式会社飛駒商事と株式会社YUJIN建設も同じことをするつもりか?」谷田が言った。

「すぐに鑑識、爆処理に連絡…」茂呂警部がすぐに対応した。

 氷室は困惑していた。「おやおや、おそらくもう手遅れってときに言いましたね?」

「そのとおりです。ヒントを生かせなかったあなたたちの敗北よ」姫田は満足したように笑みを浮かべた。

 ドンッ、跳ねるような衝撃と、グラグラ揺れる衝撃波が体感で人々に感じさせた。

 それも二回だ。

「困ったひとたちですね」氷室は真顔で言った。

 姫田が言ったとおり、第二の爆発、第三の爆発が起きた。

「警部、あそこ、煙が…」椛島巡査が窓からのぞき、目視で黒い煙が二か所から夕日に染まる空に昇っている。

「二か所で爆発だと…」茂呂が怒鳴った。

「警部」志麻巡査長の無線に情報が入っていた。「株式会社飛駒商事の社長室にいた飛駒 常磁社長、株式会社YUJIN建設の社長室にこちらもいた紀見田 友人社長、ともに爆死だそうです」

 呆然となった茂呂警部だった。

 氷室はまぶたを閉じた。その沈痛なる痛みを身に染みるように。「どれだけの被害がでたと思っているんですか?」

 氷室にたずねられている姫田だった。

「さぁね。やったのはぜんぶ紙永くんよ。彼は世の中を転覆させるつもりかしらね。ここまでしちゃって…」

「きみが彼に好機を与えたんだぞ。わかっているのか」氷室は鋭い目つきで姫田をにらんだ。

 押し黙る姫田だった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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