幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

Egg〜ノクターン〜episode2

   2016年7月1日  

「幸薄そうな男ね。おまけに殺し屋でも気取ってんの? だっさ」
 淡いブルーのシャツに紺のスーツとネクタイ。薄手の黒いロングジャケットを羽織っていた。セミロングに伸ばした髪の間から睨み付ける左眼はピッタリと私を捉えたまま。

 不器用な大人のハードボイルドアクション!!

 

 恋人は普通一人だろう、と思いながら頭にきて立ち上がった。
「余計なお世話。男なんてロクでもないね」
 睨み付けてやった。
「どうして、俺の知ってる人間は皆独りを背負い込むんだろうね」
 飽きれる様にぶつくさ言いながら、私より先に去っていってしまった。
 ぽつねんと残された私。
「くそっ!」
 軽く机の脚を蹴っ飛ばし、誰にも聞かれたくない遠吠えを吐き付けるようにして、女であることを呪った。ノクターンの悲しい音色が、心臓の奥をえぐる様にしてしんみりと響き渡る。このまま去るのもみっともなく、普通に座っているのも辛くなってきて、テーブルの上に伏せるようにしてもたれかかった。
 暫くしてアルバートが小さなグラスを持ってきた。
「?」
「バーボン」
「あほ」
 気付け薬とでも言いたいのだろう。決まって私が伏せっていると何故か持ってくる。
ぐいっと飲み干して、喉の焼ける痛みに集中した。
「ま、人生色々だ」
 意味わからず、思わず吹き出して笑ってしまった。
 彼がキッチンに再び戻るのを確認しながら、タバコに火をつけた。立ち上がる紫煙を見つめていたら、ため息さえ付けなくなった。
「……孤独で何が悪い……」

*****

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
-, , ,

Egg〜ノクターン〜 第1話第2話第3話

コメントを残す

おすすめ作品