幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ハートフル

モモヨ文具店 開店中<25> 〜マーカーガール〜

   2016年7月8日  

今回は、ラインマーカーに願掛けする女の子、如月 さやかさんのお話。
なんと彼女、全種類買ったら直くんに告白するつもりなんですって!
でも、彼女の直くんへの気持ち、どうやら単なる好きだからじゃないみたいなの。
いったいどういうことかしら?
『マーカーガール』へどうぞいらっしゃい!

 

 
 先週書いた、直くんの別の話。
 完璧だと思っていた直くんの女装が、なぜバレてしまったのか……。
 そのお話。

 あと三本……!
 わたしは、町の文具屋のマーカーを端から買って行ってある願掛けをしている。これを全部買いそろえたら、ラブレターを書いて……それで! それで!「こんにちは。今日もマーカーですか? こっち新色出てますよ」
 レジ台の向こうから声。笑顔で言われるその声!
「高橋さん……!」
「はい、いつもありがとうございます。如月さんは勉強熱心なんですねえ」
 にこっと笑う。
 ああああ~! 格好いい。高橋 直さん! 眼鏡かけてるときの、ちょっと暗い憂いを秘めた顔がほんと格好いい……!
「どうします? 新色にします?」
「あっ! あ、はい、じゃあそれにします!」
 一気に三本買ってしまった。端の三本。新色出てるっていう、それ。
 ということは、つまり。
 わたし、高橋さんにラブレター書いてお付き合いを申し込むこと決定してしまいま・し・た!

「ありがとうございました」
 高校二年生の如月 さやかさん(本人が名乗った)が今日もマーカーを買っていくと、モモヨさんがものすごい顔――驚いて非難するような顔――でこっちを見ていた。
「なんですか?」
「気づいてない? 今の、あの子の、あれ?」
「眼鏡かけてるから大丈夫ですよ。眼鏡をしてる僕はモテません」
「いやいやいや。それは間違った見解ですわよ。上司として今すぐその見解を正さなければならないわ。――ちょっと訊くけど、告白回避のために、毎回新商品入れてるの?」
「モモヨさんと一緒にしないでくださいよ。僕は純粋な商売目的です」
「なによその言い方はー!」
 もー! と怒ったモモヨさんが「居間に行ってくる!」というのでこの話は終わってしまった。
 とはいえ、本当に眼鏡をかけた僕がモテることなどないのだから(それは純然たる確信だった)気にせずともいいだろう。
 毎回、マーカーを買って行くお客が――なんたって〝お客〟だ――自分に好意を懐いているなんて幻想、誰だって鼻で笑いそうだ。
 それよりも、僕は今日、夜のバイト(要女装)でモモヨさんのところで着替えさせてもらうのだから十分気をつけなければならない。
 裏口から出て行けば大丈夫だろうけど。

 

-ハートフル
-, , , , , ,


コメントを残す

おすすめ作品

お仕事です! 第1章:樋渡和馬VS住所不定無職-2

お仕事です! プロローグ:樋渡和馬、ニートたちの星になる

モモヨ文具店 開店中<26> ~モモヨさんと決闘~

モモヨ文具店 開店中<4> 〜消しゴムフレンズ〜

モモヨ文具店 開店中<30> 〜三者三様〜