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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season13-1

   

 横峰事務員が訪問した男の電話をとる。すると重要な依頼だからと唐突な訪問者を受け入れた。

 ほかの事務員が懸念してか横峰に声をかける。科宮や佐崎が心配そうにその訪問者を疑念する。

 3番ブースを通した横峰は黒スーツの男と対面する。どんな依頼人かわからないが、来客用の笑顔で向かい入れる。
 男は一礼するも口調が緊張している。

 落ち着かせるように話を伺う。すると氷室名探偵に会いたいというのだ。なにをたくらんでいるのか、男への懸念が増幅される横峰だった。
 ほかにも有能な探偵はいる。依頼内容に応じて適した担当探偵に引き継がせる。氷室名探偵だけではないことを主張する横峰もまた事務員として誇りをもっている。

 男はその言い分に少々態度が変わった。口調が少し和らいだ。

 そして言った。「わたしは刑事です」と。

 探偵社としてこの刑事の依頼は前代未聞の依頼だった。とんどもない発展性をもった依頼で、受けるのを躊躇するのは当然だった。

 警視庁捜査一課黒川 公平が訪問者。だが、真の依頼人はべつにいる。

 そしてこの依頼には重要な人物が不可欠だという。

 それが御影だった。

 

 氷室探偵事務所に黒スーツの男が現れた。にらみつけるように“HIMURO・D”と掲げている探偵社の看板をその鋭き眼光は、たくらみが輝いていた。

 受付の電話が鳴る。横峰 みなみ(ヨコミネ ミナミ 32歳)が受話器をとる。川上探偵の助手でもある。

「はい、事務員の横峰です。事前に予約されていますか?」横峰は唐突な来客だと察した。

「それでは3番ブースの個室へどうぞ。お入りになってお待ちください。すぐにうかがいます」

 科宮 佐知子(シナミヤ サチコ・30歳)が、声質が事務的だった横峰にたずねた。水桐探偵の助手。「どうしたんですか?」

「急な来客、しかもかなり重要な依頼だっていうから…」

「どこのだれですか?」佐崎 寛子(ササキ ヒロコ・26歳)が割って入った。大地探偵の助手だ。

「わからない。できれば内密にだって…」

「だいじょうぶ?」科宮が言った。

「うん、でも男だからちょっとこわいわね」横峰は怪訝な顔をしていた。

「大地ちゃん呼ぶ? 危機回避能力で危険を察知できるから、その合図で助けに入れる」佐崎が言った。

「だいじょうぶ。わたしだってそれなりに護身術を川上探偵から伝授してもらったことあるし。でもいちおうなんかあったときのために呼んでおいて?」

「わかりました」佐崎は応じた。

 3番ブースの扉を開けると、黒スーツの男がすでに座っていた。テーブルを挟み対面するように横峰はむかいに座る。

「こんにちは」横峰は来客用の笑顔を取り繕ってあいさつをした。

 男は唐突に立ち上がり、横峰を驚かせたが男は一礼した。

「こ、ご、ごこんにちは」

 もはやなにをいっているのかわからない。緊張しすぎる。こんなやつがなにをしてこようと余裕で交わしてみせる。横峰は勝ち誇っていた。

「お座りになってください」横峰は落ち着かせるように相手の男をリードする。

「ありがとう、ご、こ、こございます」男はどうしても、口調がどもるのが異様だった。

「それできょうはどうしましたか?」横峰はさっさと用件を聞いて、担当探偵に引き継がせようと考えていた。事務員のつらいところだ。こんなわけのわからない依頼人の相手をしなければならない。もはやカウンセラーだ。免許はない。

「氷室探偵に直接お会いしたい」男は唐突に言った。

 さすがに氷室名探偵に直接依頼を、面通しさせるわけにもいかない。この男なにをするつもりだ。もはや氷室の活躍を毛嫌って暗殺しにきたか。

「どうしてですか? まずはわたくしが依頼の内容を聴取してから担当探偵にお伝えします。どの探偵になるかは指名はご遠慮いただいております。それに有能な探偵ばかりですから…、ご安心ください」横峰は誇らしく自社の探偵を紹介してもいいと思っていた。

「いや、そうではない」男は少し口調が和らいだようだ。

「わたしは刑事です」

 

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