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ラブストーリー

月夜と黒猫

   

3年付き合った彼に二股をかけられ、別れたばかりの奈美子は、友人たちに慰められ、月夜の初夏の公園で黒猫に出会う。
次の日、起きると黒猫はそこにいた。
しかしいたのは黒猫だけでは無く、料理好きで、キッチンでオムレツを焼く黒沢雄太だった。
同じく彼女に二股を変えられていて、同棲中のアパートから追い出された大学院生だった。
そこで奈美子は雄太に同居を提案してみた。

 

今夜の奈美子はかなり酔っていた。
3年も付き合っていて、もう28歳になる奈美子は、彼からの「大事な話があるから会いたい」と言うメールを受け取り、てっきり「プロポーズ」の言葉が聴けると、勝手にはしゃいでいた。
しかし、実際に逢ってみて、奈美子は自分の耳を疑った。
「別れて欲しい」
「どうして?上手くいってたじゃない?」
「俺もそう思ってたけど…」
そう言って彼はコーヒーを一口飲んでから、次を続けた。
「彼女に子供が出来たんだ。」
一瞬奈美子は混乱した。
「彼女って、私妊娠なんかしてないわよ。」
「奈美子じゃない。他の彼女だよ。ごめん。」
「それって二股かけてたってこと?」
「別にそんな気は無かったんだ。友達の合コンで人数合わせで参加した時に知り合ったんだけど、最初は、そんな気更々無かったんだ。」
「更々無い合コンに、私って言う彼女がいるのに参加したの?」
「だから、最初はほんとにそんな気なかったんだけど、その日彼女が凄く酔ってて家まで送ったんだ。そしたらその勢いでつい…」
「その勢いでつい、やっちゃったって事ね、それで妊娠したって事でしょ?」
奈美子は、その時はなぜか冷静でいられた。
まるで、他人事のような気がしていた。
そして目の前にいる、今まで自分の彼氏であったはずの男でさえも、何の価値も取り柄も
無い人間に思えてならなかった。

それから、一週間がたち、友人の紗江子と美穂子が、奈美子を元気づける為に女子会を開
いてくれたのだった。
3年間の彼との思い出の中の愚痴りたかった事全てを話し、浴びるほど酒を飲んだ。
「良かったじゃない。そんな小さい器の彼と一緒にならなくて。」
と紗江子は言った。
紗江子はどちらかと言えばリーダーシップの強い頼れる姉御肌と言った感じだ。
今日の会も彼女が全てセッティングしてくれたのだ。
「そうよ。まだまだ私たちこれからよ。素敵な王子様がすぐ現れるって!」
そう言ったのは美穂子だった。
美穂子は、絵にかいたようなお嬢様で、今でも王子様を探し続けるほどのロマンチストな
のだ。

 

-ラブストーリー


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