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鳥の知らせ 後編

   

たくさんの鳥たちと暮らす、平凡な家庭の、ある夜。
不思議な出来事が起こったのでした。

鳥たちとゆり子の家族の不思議なお話。完結です。

 

はつ子の同級生が嫁入りしたという「鳥屋」は、ゆり子の家があった雪の多い地方都市の中心街のはずれにあり、いかにも古そうな、そしてそれを直さずに使っているといるような、壮絶な建物でした。
いくら地方都市とは言えど、中心部の繁華街にあり、周囲はすべて小奇麗なビルに建て替えられているというのに、その建物だけは、茶色の板塀にボロボロのトタン屋根、という風体で、それでも一応場所だけは中心街のはずれとは言えど地方都市ではそれなりの一等地で、思い返せば思い返すほど、その「鳥屋」は不思議な建物でした。
いつも店番は、はつ子の同級生だという、色の黒い痩せたおばさんが、むっつりとした顔でやっており、そして、その店は、ゆり子たちは「鳥屋」と呼んではいたのですが、鳥だけを扱っているわけではなく、雑貨屋と駄菓子屋を兼ねているのでした。
特に、駄菓子屋の部分は、いかにも体に悪そうな毒々しい色のお菓子や、メンコ、はずれしかない籤、野球選手のブロマイドなどを扱っていて、ゆり子は子供心にも、なんでこんなものがここに置いてあるんだろうと思ったりしたのでした。
そして、その店の壁中は、鳥、鳥、鳥、鳥の洪水、鳥かごだらけなのでした。そして、むっつりとしたおばさんの後ろには、木でできた台があり、50センチもあろうかというコンゴウインコが鎖のついた足でひょいひょいと足踏みしながらずっとこちらを見つめているのでした。
そしてそのインコは、たまに出し抜けに、
「アーイヤダイヤダネエ」
「キタナイ、キタナイ」
と、叫び出すのでした。
そして、その鳥屋の軒下に、鳥小屋が何個か並べておいてあり、その中には、鳩やニワトリ、チャボのような少し大きめの外飼いする鳥たちがひっそりと飼われているのでした。
その鳥屋は、今思い返すと鰻の寝床のような土地の形状になっており、道路に面した場所には鳥屋を設けてはおり、奥のほうは住居になっているようなのでした。そして、はつ子とそのおばさんが交わす世間話を、ゆり子が聞くともなく聞いていると、奥の住居のほうに、寝たきりのおばあさんだか、おじいさんだかがいるらしく、おばさんは店番と、病人の世話で、何も面白いことなどないと、いつも吐き出すように愚痴っているのでした。
そのおばさんはいつも顔色が悪く、不機嫌そうでした。
けれどそのおばさんは、むっつりとしながらも、ゆり子にいつも、ザラメのついた大粒の飴を、売り物の瓶から出して、くれるのでした。
ゆり子はいつも、その大粒の飴を甞めながら、はつ子とそのおばさんのいつ果てるともわからない愚痴話を、小鳥たちを眺めながら聞いているのが常でした。
その飴は、いつもなんだか、少し鳥臭い味がしたのでした。

そんな毎日の中の、ある冬の、平和な夜のことでした。

 

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