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更年期パラダイス【3】

   

会社に戻ったコユリは、息子の和彦に食事に誘われた。夜、息子と待ち合わせたコユリの前に現れたのは…。
少しずつ、変化していく日常。コユリ取り巻く人たちの環境も変化しているようなのであった──

恋愛には目もくれず、ひたすらに駆け抜けた女性実業家の心と体を描く、大人の物語・第3話。

 

 社に戻ると、今は別の場所で暮らしている息子の和彦が、コユリの部屋へやってきた。
 コユリの会社は、新宿の小さなビルだ。全国に名だたる弁当チェーンにのし上がった『パラダイス弁当』だが、本社ビルはこじんまりとしている。それも、全室は使う必要がなく、一部賃貸に出し、無駄の無いようにとコユリが考えて建てた。
 大きな本社ビルなど、いらぬ見栄だとコユリは思う。
 そのビルの中に、コユリは仕事用の個室を持っている。
「お母さん。今夜あたり、僕と食事でもしませんか」
 和彦は、息子のくせにとても礼儀正しい。小さい頃からあまりベタベタせず育ったせいか、今でも二人の間には、今となっては良い意味での他人行儀な雰囲気があるのだ。
「ええ、かまわないわよ」
 コユリが簡単に答えると、和彦は、
「それじゃ、7時に六本木の『ル・バトー』で」
 と、とっくに予約を済ませていたらしくそう言うと、にっこりとして部屋を出て行った。

 

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