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更年期パラダイス【4】

   

息子が結婚をすることになり、コユリは現役時代の時間を取り戻すように将来を考え始めるのだった。
そんな折、突然の腹痛に襲われたコユリ。医師から聞いた言葉は、想像もしていなかったものだった。

恋愛には目もくれず、ひたすらに駆け抜けた女性実業家の心と体を描く、大人の物語・第4話。

 

 最近は、ゴルフの誘いも億劫に感じるようになり、コユリは日曜を休日とし、家にいることが多くなった。
 コユリの家は、小田急線の梅が丘駅近くにあるのだけれど、最初の結婚を機に建てた戸建て住宅なので、一人で住むには大きすぎた。
 家の掃除や家事全般は、家政婦サービス会社に頼み滞りなくやってもらってはいるが、どちらにしてもひとりで住むような家ではないことには変わりはない。
(そうだ。この家を売るか、もしくは和彦夫婦に土地ごと譲り、わたしはどこか、都心のマンションへでも移ろうかな)
 コユリはベッドの中でふとそんなことを考えながら目を閉じた。
(お父さんとお母さんの位牌だけ、新しいマンションへ運んで行けばいい。そうだ、そうしよう)
 次の日、会社で和彦にそのことを話すと、喜んでくれたので、それからコユリはしばらくの間、知り合いの不動産業者にも頼み、マンション探しに没頭した。
 しかし、コユリが理想を追いすぎるせいか、それほど焦ってもいないせいか、コユリの新しい部屋はなかなか決まらなかった。
(まぁいいわ・・・どうせ焦ってはいないのだもの)
 そう思いながら、コユリは優柔不断な自分を楽しんでいた。
 常に決断を迫られていた現役時代の自分を少しずつ、普通の女へと戻しているような、なんだか不思議な感じがして、そんな感じを、コユリはひとり、楽しんでいた。

 そんなある日のことだった。
 出社してすぐ、コユリの部下のひとりが、孝三の妻が昨夜遅い時間に亡くなったことを知らせてきた。コユリは溜め息をついた。

 

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