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ノンジャンル

   2016年7月22日  

私は小澤直之、45歳で営業の最前線で頑張っていると自負しておりますが、ホタルが苦手です。

これまで人には話したことはありませんが、その訳をあなただけに教えます。内緒ですよ。

それは今から30年程前の出来事が原因です。

大好きな伯母の悲しい思い出です。しばらくお付き合い下さい。

 

プロローグ

小澤直之、私の名前です。45歳で営業の最前線で頑張っていると自負しております。

「あなた、少しは子供と遊んで下さいよ。」

いつも妻には叱られますが、ここで一踏ん張りすれば、ひょっとすると役員になれるのではないかと秘かに期待しておりますので、昼も夜も、土日さえもお客様のためとあれば、どこへでも駆けつける、「男芸者」などと陰口さえ叩かれる男です。

しかし、当然、私にも苦手なことはあります。

「小澤さん、ホタルの夕べ、如何ですか?」
「いやあ、どうもホタルは苦手で。」
「光の洪水ですよ。あれを見ながら一杯、こたえられませんよ。」
「なんか、儚くて、ははは、ロマンチストなんですね、私は。」
「おやおや、意外ですな。」

別にロマンチストな訳ではありませんが、私はホタルを見ると、悲しくて涙が出て止まらなくなってしまいます。

これまで人にはお話ししたことはありませんが、あなたにはお話ししましょう。でも、内緒ですよ。

 

-ノンジャンル


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