幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

ウパーディセーサ〈五十三〉

   2016年7月25日  

始めましょう。

 

作戦が決まった。
みんなの意見から一番有力なものを組み立てていった。
部隊班を三つに分ける。
司令班、技術班、突入班。
司令部には僕を筆頭に、鏡、他三名。技術班には平山、沼堀、他二名。突入班は宮守、過去に空手、剣道の経験のある川上、そして残りの九名。
まずウパーディセーサを支援している財閥より武器を支給してもらった。防弾ベスト、88式鉄帽、膝当て、肘当て、半長靴、GLOCK18、Feldmesser81サバイバルナイフ、Colt M16、スタングレネード、手榴弾。宮守は懐かしそうにそれぞれを手に取った。使い方を皆に説明し、作戦の詳しい内容を告げた。
平山はなぜかあったというマハーパリニルヴァーナの本拠地の見取り図のデータを開き、各部屋の用途を説明している。おそらくこの見取り図は松原が敵地に潜伏しているときに秘密裏に送ったものだろう。
作戦は、まず平山率いる技術班がマハーパリニルヴァーナのシステムをハッキングしてこちらから操作可能な状態にしてある。突入班は敵の本拠地周辺で待機。技術班が遠隔操作で敵本拠地への電気供給を断ち、停電状態にする。僕のよみではおそらくすぐに自家発電に切り替わる。あらかじめ遠隔操作によって自家発電を止めてあるので、内部に混乱が生じる。そこへ突入班が一斉に突入。宮守率いる突入一班は焦響の元へ、川上率いる突入二班は職員を誘導し、食堂へ監禁。その隙を狙って僕と平山が班を離脱し、エリミネートマシンの破壊を試みる。宮守が焦響たちを制したところで突入両班と僕たちが合流し、水《かつみょう》の元へと向かう。ただ気をつけないといけないのは、松原だ。彼の発想の予想はつかない。平山が松原を思い出せばなんとかなるのかもしれないが、それは不可能だ。どんなキテレツな発明があるのかわからない。細心の注意を払わなければ。
いくらなんでも元特殊作戦群の宮守に焦響が敵うはずがない。焦響がもし一人ならば。
「大丈夫だ。二十人いようと勝てる自信はある。俺を信じてくれ」
宮守はワイルドな笑顔でそう言った。これからの戦闘を楽しみにしているかのように。
「みんな。できるだけ人を撃たないように。自分の身の危険を感じたとき以外は威嚇射撃で済ませるんだ。しっかし、この装備は自衛隊さながらだな。テッパチはしっかりかぶるんだぞ!」
軍用語でヘルメットのことをテッパチと呼ぶそうだ。
皆、見たこともないような真剣な表情でシステムルームに並んでいる。命をかけた最後の戦いだ。恐れおののく様子もなく、まっすぐな瞳で宮守を見つめている。それもそうだ。ここにいるみんなは悲しみを知っている。一度は悲しみを忘れ、そして悲しみを取り戻した。ここで逃げるような人はいない。
そして出発の時は来た。
皆で分厚い扉を開く。
もうここに戻ってくることはないだろう。
十月の大きな月が笑っている。それを見上げて川上が言った。

 

-SF・ファンタジー・ホラー
-, , , , ,