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ウパーディセーサ〈五十四〉

   2016年7月28日  

みんな、いいか。相手も戦闘のプロだとして考えると、この事態に備えて何かしらの作戦があるはずだ。ここでそれを欺くための作戦を伝える。

 


 
 平山がエンターキーを押したと同時にモニターに映っていた防犯カメラの映像が一度切れ、そしてすぐにまた映し出された。
「防犯カメラは大抵UPSという装置が付いているから、停電してもしばらくは作動してくれる。おぉ、予想どおり皆困惑してんな。食堂から人がいなくなる前に突入したほうがいいんじゃねぇか? 小山眇寨司令」
「そうですね。宮守さん、川上さん。突入してください。あとは作戦通りで」

『了解』

 突入班が一斉に洋館の門をよじ登り、扉の前に手榴弾を置いた。
 爆発によって破壊された入り口から次々と突入していく様子がモニターに映し出されている。
 エントランスには二人の職員が床にひれ伏して怯えている。
 無線機から宮守の怒鳴り声が聞こえてきた。
「抵抗しなければ危害を加えるつもりはない。職員全員を食堂に集める。協力しろ」
 マシンガンを突きつけられた職員二人は必死に命乞いをし、協力すると意思表明した。あとは突入二班の仕事だ。宮守率いる突入一班は焦響がいるであろう軍事特殊部へと向かった。
 宮守先導の元、一班はくねくねと曲がる長い廊下を乾いた音を立てながら走っている。
 軍事特殊部内には防犯カメラが設置されていないので、本当にそこに焦響たちがいるかはわからない。しかし、可能性は高い。
 次の角を右に曲がれば軍事特殊部の部屋なのだが、そこで一班は足を止めた。
「みんな、いいか。相手も戦闘のプロだとして考えると、この事態に備えて何かしらの作戦があるはずだ。ここでそれを欺くための作戦を伝える。俺が単独でここから部屋の扉の前まで行き扉を開けスタングレネードを放り込む。閃光が治ったと同時に俺は部屋の中へ突入する。敵の目がくらんでいるうちに発砲する。銃声が聞こえたら、お前らは同時にこの壁に向かって連続射撃だ。前と後ろから挟み撃ちにする。できるな」
 皆、無言で頷いた。
 早速宮守が一人で扉の前に向かい、深い深呼吸をし、扉を開けて閃光弾を投げ入れた。そして光が治ったのを確認し、中へ突入した。が、そこに焦響たちがいないことが、宮守のヘルメットに装着されている小型カメラの映像によってわかった。
 その時、待機していた一班の元へつながる長い廊下を走る数人の影がモニターに映った。
「敦さん! 焦響たちは待機している一班を狙っています。早く戻って!」
 宮守は、目にも留まらぬ速さで一班の元へ戻り、射撃準備に入った。
 三人が横一列になり片膝をついて銃を構え、宮守ともう一人が三人の背後で立ったまま銃を構えた。
「眇寨。奴らがすぐそこまで来そうになったら教えてくれ」
「はい。敦さんに引けを取らないほどの足の速さです。もうすぐ最後の角に到達します。三・二・一。来ました」
「撃て!」
 一班は一斉に引き金を引いた。
 無線越しでも耳を塞ぎたくなるくらいの音だ。
 しばらくして宮守が発砲をやめた。
 弾薬の煙と砂埃で廊下は真っ白に靄がかかり、防犯カメラからは何がどうなっているのかわからない。一分ほどの沈黙を待って、宮守が口を開いた。

 

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