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更年期パラダイス【6】

   

孝三と共に箱根を訪れたコユリは、存分に楽しんだ。
東京へ戻りしばらくして、コユリの元にシュウから電話が入った。珍しいことだった。
そして、シュウの口から出た言葉は、予想もしていなかったことだった──

恋愛には目もくれず、ひたすらに駆け抜けた女性実業家の心と体を描く、大人の物語・第6話。

 

 もう一度、仲居さんを呼び、布団を二つ敷いてもらうと、コユリと孝三は、二つ並べられた布団にお互いに滑り込んだ。
「静かねえ」
「ほんとうに、そうですねえ」
「ねえ、孝三さん」
 コユリは呼びかけた。
「そちらへ行ってもいい?」
「いいですが、しかし・・・」
 コユリは孝三の布団に潜り込むと、孝三の胸に顔を寄せた。
 孝三は、ゆっくりとした動きで、コユリの体を持ち上げるようにし、ゆっくりと、コユリの唇にキスをした。
 そしてそのまま、二人は抱き合っていたけれど、しばし間があって、孝三が話し始めた。
「今だから、言うのですやが、わし、コユリ副社長のこと、ずっと好きでしてん。まだお互い、白い上っ張りを着て、弁当詰めてるときから、ずっと、キビキビとした、働き者のコユリ副社長のことが、わし、好きでしてん。でも、昔で言うなら、身分違い言うか、まぁ、番頭が店の娘さんに手を出すことはできませんからな。そんなもんやと思うて、これまで来ました。嫁はんのことはもちろん、大事に思うとりました。優しい嫁はんでしたからな。だから、最後は、看取ってやりたいと。それが叶って今、正直、ほっとしとります。それで、こんなときに・・・。コユリ副社長とこないなことになってしもて、わし、今、うれしゅうてならんのですわ。嫁はんには、悪い気もしますけどな・・・。けど・・・。こんなこと言うの、情けなくて悲しゅうて、死にたいくらいのもんですけど、わし、嫁はんが病気になった一年くらい前から、すっかり、インポになりましてん。まるで立たへんのですわ。ほんま、恥ずかしゅうて・・・。今、どないにして、コユリ副社長を慰めはったらいいのか、わし、わからんのですわ」
 コユリは、じいっと、孝三の話に耳を傾けていたが、そのうちに、孝三の首に両腕を回し、孝三の首筋に唇を這わせながら囁いた。
「いいのよ。そんなこと。実はね、わたしもダメなの。更年期障害なんですって。仕事しているうちに、わたしの女は、終ってしまったみたいなのよ。だから、いいの、入れたいわけじゃないのよ。こうして、一緒の布団に入って、雪景色を眺めているだけで、いいのよ」
 コユリは孝三に腕枕をしてもらい、後は黙ったまま、雪景色を眺めていた。
 孝三は、コユリの背後から腕枕をしていないほうの手を伸ばし、優しく乳房を揉んでくれた。

 

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