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爽士郎松

   

 むかし、むかし、あるところに…。
 家臣に想いを寄せる姫と、姫を慕い続ける家臣の悲しいお話。

※ 一部の読者さまから、中島敦著『山月記』と似ているのでは? というご指摘がありました。
 確かに似ている箇所がありましたが、故意によるものではありません。
 しかし、似たような作品を作ったことは、作者の浅学菲才によるものであり、恥ずかしいばかりです。
 よって、その箇所を訂正し、またタイトルも『見送り峠』から『爽士郎松』に変更させていただきました。
 読者様に、ご迷惑・ご心配をお掛けしました。心よりお詫び申し上げますm(_ _)m (’08.1.31)

 

 あき姫は、先程から重苦しい溜息ばかり吐いていた。
 気晴らしにと、横笛を吹いていたのだが、簡単な場所で何度も間違えてしまった。姫はその度に、ほっと疲れたような溜息を漏らした。
 庭は、すでに秋の気配を見せていた。
 草木は茶褐色に変色し、吹きゆく風は幾分冷たかった。
 空には鰯の大群が泳ぎ回り、照り付ける日差しも和らいでいた。
 実に涼やかな、気分の良い日である。
 だが、あき姫の心は真冬の静けさのように沈んでいた。
 堪らなくなった彼女は、とうとう横笛を投げ出した。
「如何なされました、姫さま?」
 傍に控えていた侍女が訊いてきた。
 姫は、庭をじっと見詰めたまま答えた。
「寂しい…」
 侍女は何のことかと首を傾げた。
「寂しいのです」と、姫は先程より大きな声で言った。
「何が寂しいのですか?」
 あき姫は、それには答えず、ただただ庭を眺め続けた。

 

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