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SF・ファンタジー・ホラー

魅舞唄師1〜唄を捧ぐおとぎ話2〜

   

 院長室へ向かったアルレイナとセリア。
 道中、セリアの口から魅舞唄師の中でも高位の者である黄副長の帰還を聞く。

 

「黄副長がお帰りになるの!?」
 アルレイナが叫ぶ様に聞く。
 黄副長、それは魅舞唄師の中でも高位の者の称号だ。
 院長の下に魅舞唄長、魅舞長、魅唄長とそれぞれの長が有り、魅舞唄長の下にだけ五人の副長が有る。
 その中の一人が黄副長である。
 黄副長は数ヶ月前に交代したばかりで、そのお披露目もかねて国の要所に視察に出ていたのだ。
 その黄副長が数ヶ月ぶりにこの王都セラジールに帰ってくる。
「というか、予定ではもう帰ってきているはずよ?わたくし、兄様の代わりに出迎えるはずだったから予定聞いていたもの」
 悪びれもなく、やはりのほほんとセリアは言ってのけた。
「王太子でもあるイリアス様の代理ならなおさらすっぽかしちゃ駄目じゃない!?」
「え?でも兄様自身が行かなくても良いと言ったのよ?黄副長はどうせ後で自分から挨拶に来るだろうからって。あの二人親友なんですって」
 セリアの最初の言葉で呆気にとられ、何も言えなくなったアルレイナは、そういえばと思い出した。
 セリアの兄、イリアス=デイ=サウルグとは数える程しか会ったことはない。
 セリアのようにのほほんとした人では無かったが、やはり兄弟。あまり重要ではない公務などはたまにすっぽかし、しかもそれがさも当然の様に言ってのけるところがある。
 以前たまたまそういう場面に直面したときは、思わず彼が王太子だということを忘れて叱りつけてしまった。
 幸い周りに人はいなかったし、本人も気にして無かったので罰を与えられることは無かったが……。
 はあ、とアルレイナはセリアに気付かれないようにため息をついた。
 以前から常々思っていたことを訂正しなければならないようだ。
 アルレイナはセリアとカレンの主従に振り回されてばかりだと思っていたが、実際は王族とその周りの者に振り回されているようだ。
 と、色々思いを馳せているうちに院長室に着いた。

 

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