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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season14-1

   2016年8月19日  

 怪盗レオパルド扮する栗原 毬が逮捕された報道をテレビから見ている謎の男。

 それはあやしくも真の怪盗レオパルドだった。

 背後で拘束されている男がひとりいる。負傷して拷問をうけて、虫の息だった。

 男は不要な操り人形を処分するために、その手で致命的な打撃を後頭部に与えた。

 男は叫ぶこともなく、ほとんど意識がなかったため、そのまま絶命した。

 その男こそ栗原の相棒であった。

 氷室探偵事務所に電話が入った。事務員の科宮が対応するも、その一報はとんでもないものだった。

「御影くん、逮捕されました」

 御影の行動にはある思いがあった。そのための無茶な反動で、警察に逮捕されてしまった。

 お咎めはないものの、行き過ぎた調査によって警察はいったん保護したようなもの。

 引き取りにくることで釈放となる。

 水桐、川上、雲田の三人はけだるそうに迎えにいった。

 そして、ここから真の怪盗レオパルドを追い詰めるための調査が開始されるのだった。

 

 暗闇の中でテレビの明かりだけが男の存在を照らしていた。

「栗原 毬、不甲斐ないやつだ。逮捕されるとはな。だが、惨めに抗うのもかっこがわるいか…、さて、つぎはどうするかな」

 不敵な笑みを浮かべ逮捕された栗原のニュースが流れている模様をあざ笑っている。

 背後では、妙な男が裸体でひざまずき、両手をひろげられ拘束されていた。

 血なまぐさいにおいが室内に充満していた。

 テレビの光を浴びていた男が立ち上がり、拘束されている男に近寄る。手にはワイングラスに上等なワインが注がれていた。

「操り人形にもならん男よのぉ、大根役者が…」

 気力体力を失い虚ろな眼は床をぼんやりとみている。後頭部を見下す男の言い分など耳に入っていなかった。

「クズめ」血塗られている体に赤ワインをぶっかけた。

 ピクリともしない裸体の男。

 勝ち気な男はワイングラスを放置し、右こぶしを握りしめ後頭部めがけて落とした。

 鈍い音が響き、拘束されていた男の唸る声は、ガスが抜けたようにちいさくなっていった。

 すると、男は力尽きた。

 怪盗レオパルドの相棒として演じていた役者が、真の怪盗レオパルドからお役御免となり、破棄された。

 名前すらしらない男に依頼した。東京ビックサイトで行われた国際宝飾展示会でもいたタクシードライバーの運転手が、変装をしていた。

 そのまえに一度だけ対面していた。そのとき素顔を晒していた真の怪盗レオパルド。

「この素顔を見たおまえは確実に殺す。わたしのこの指さきから伸びる糸で、操られることを望め。さすれば助けよう。命まではとらん」

 栗原が失敗してしまったことで、役者の男も口封じされた。

 真の怪盗レオパルドの正体をしっていた唯一の人物、役にならなくなったため始末した。

 スキラーと呼ばれる技法も、真の怪盗レオパルドが手掛けたものだった。
 映像を作り出したり、布にフェイクの絵画を描いたりする。それゆえに本人は表に出ない。

 マジシャンですらスポットライトを浴びているというのに。

 怪盗レオパルドはつねに影の中に身を潜めている。

 栗原 毬も真の怪盗レオパルドの光となってその身を焦がしてしまったのだ。

「これでわたしの秘密は守られる」

 不敵に笑う真の怪盗レオパルド。

 その素性はだれもしらない。

 カーテンを開けた男。月明りが男の影を床に伸ばす。痩身なシャドーは見るからに謎めいていた。

「わたしはこの月明りが照らす世界が好きだ」

 月明りが照らして、室内が真っ暗なため、男の素顔はあきらかではない。年齢不詳なシルエットであるのは目測でわかるが、ほっそりとした体型は二十代にも、三十代にも、はたまた五十代にも見える。

 真の怪盗レオパルド。

 栗原が展示会で逃げるときに相棒が迎えにきて、タクシーを手配していた。

 そのタクシードライバーこそ、真の怪盗レオパルドだった。

 

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