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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season14-2

   2016年8月22日  

 森谷が単独で怪盗レオパルドの事後調査をしていた資料を基に御影もまた単独で疾走してしまったのだ。

 栗原が怪盗レオパルドとして逮捕されたが森谷は、栗原がだれかの指示を受けて行動させられているように推理していた。

 その人物の住所がわかり訪問した。アパートに住むその人物は留守だったが大家にたずねると、もう一月弱も姿を見ていない。行方知れずらしいことがわかった。

 御影がその資料を読んで冷静でいられるわけもない。栗原がどういう状況で怪盗レオパルドとして動いていたのか。

 刑を軽くできる可能性もある。それに気づいて御影は勝手に走った。

 そして行き過ぎた行動により逮捕され、いや保護された。身勝手なだが、それなりの成果を探偵事務所の面々に聞かせる。

 そして驚愕な事実、真の怪盗レオパルドのイメージを御影は話し聞かせるのだった。

 御影たちは奮い立つ。

 探偵四人は、森谷が調査した資料から特定されていた人物のアパートへ向かうのだった。

 

 御影は森谷のデスクから、偶然にも怪盗レオパルドの追跡資料を見た。

 そこには栗原が対面している人物の防犯カメラに映っている一枚の写真があった。

 逮捕されたのは怪盗レオパルドとして、栗原 毬だけだった。その人物が首謀者なのか、共犯者なのか、それはまだわかっていない。しかし、重要参考人である。

 森谷はその人物をどうにか追えないか、単独で時間のあるときに調査していた。

 栗原と対面していた男の素性は掴んだ。とあるが、記されている住所に訪問してみたが、年明け翌週になっても留守。というより行方知れずといったほうがただしい。

 住まいにひと月ももどってきていない。しかも有明の宝飾展示会の日あたりだったと大家は話していた。

 やはりタクシードライバーの運転手が首謀者として見るのが妥当。そう考えればその日、そのまま連れて行動を共にしていたとなる。なにかあったら替え玉にするのが見え見えだ。

 森谷の推理はそう見立てていた。

 と記されている。

「森谷さんもまた勝手なことを…、御影くんが単独で行動するのには師である森谷さんのせいね」小柴は頭を抱えていた。

「そんなことないっすよ。森谷さんに教えてもらっていなくても、俺は単独行動をします」御影は胸を張って新宿警察署の前で反省したことなどすでに忘れてしまったようだ。

「おまえな、すこしは…」川上が声を張る。

「御影くん」水桐が遮った。「それで、成果というのは?」

 探偵事務所の探偵五名と、助手である事務員たちの前で演説するように話す御影。

「要するに、栗原さんは操られていた。そして、その首謀者というのが…」

「だから対面していた男なんだろ」川上がそっぽをむいてふて腐れていた。

「ちがう」御影は否定した。「タクシーに乗っていた運転手が真の怪盗レオパルドだった」

 驚愕の事実に、探偵や事務員たちは無言になった。

「森谷さんが探偵事務所内でもおおやけにしないのにはわけがある。相手がそうとう手ごわいようです。俺たち探偵が総出でも、敗北するかもしれないと…」御影はいった。

「なにそれ、やるまえから敗北なんてごめんだわ」水桐は吐き捨てた。

「まったくだ。俺たちの力を見くびってやしないか、いつから森谷さんは仲間を信じられなくなったんだ?」川上が立ち上がり御影に言い寄る。

「わたしもがんばる」大地も目を輝かせていた。

「俺はどうでもいいが」雲田は素っ気なかった。「だが、森谷さんが敗北宣言するほどの相手というのに興味がある。栗原の怪盗レオパルドにしてやられたのはたしかだ。一矢報いたいと思っていた」

「いつになく、やる気ね」水桐がしたり顔で雲田を見据えた。

「小柴さん、俺たち通常業務からはずれてもいいすか?」御影は申し出た。

「困るのよねぇ、でも、わかった。いいでしょう。御影くんがみずから探偵事務所の看板を洗浄したいとうのであれば、逮捕の件だけど、雪辱を晴らしてきなさい」小柴はめずらしく同意した。

「いいの?」佐伯 みどり(サエキ ミドリ・34歳)最年長がいった。

「ええ、いいわ。これは探偵社の雪辱戦ね。有明の展示会ではほんとうにしてやられた。屈辱を晴らしたいじゃない。こんなにも目に見えるかたちであるのであれば…」小柴は表情ひとつ変えずにいった。

「森谷さんがもどってきてからでも…」佐伯は森谷の助手だったため、一報入れて指示を仰ぐことを選んだ。

「それはいい、あとでも。いまいる者で動けるのであればさきに動いたほうがいい」小柴はいつになく積極的だった。

 これは無料であり、ただ働きな案件だった。それでも小柴は通常業務を放棄してでも最優先でとりかかる案件だと認めた。

「いいかしら、なにがなんでも看板を汚したのであれば挽回してきなさい。そして、かならず首謀者を引きずりだしてきなさい。わかったわね」

 小柴の激励に御影は打ち震えていた。

 

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