幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season14-3

   2016年8月24日  

 探偵たちは尾ノ上のアパートで調査を開始した。しかし、これといって新情報や証拠は見当たらない。

 森谷がすでに調べていたらしいが、資料どおりなにひとつ見落としはないようだ。

 そして全員があきらめかけたとき、川上のキャッツ・アイが見つけた。

 テレビのDVDデッキのうえに写真が一枚発見される。

 そこに映っていた人物に、御影たちはついに真の怪盗レオパルドの素顔だ、と核心した。

 警視庁捜査二課知能犯捜査係の寺門警部と光森警部補に、怪盗レオパルドから犯行予告がとどいた。

 栗原が逮捕され留置場にいるのは確認できている。模倣犯のしわざか。ただのコソ泥か。と憶測が飛び交う。

 しかし犯行予告がとどいたのなら、相手はどうあれ守るしかない。

 そこで氷室探偵社に協力を、といったそのとき警部は怒号を飛ばす。

「警察の威信」それが警部のポリシーに反しているのだ。

 数日後、犯行予告のその日がきた。

 警察と合流した探偵たち。そこで光森警部補から信じがたいことをいった。

 

 尾ノ上のアパートに着いた。

 車をパーキングに駐車させ、四人は降りてアパートの205号室へ向かった。

 とうぜん鍵は開いていない。

「俺がいってくる」川上がおりていった。大家に事情を話し、開けてもらうよう頼んだ。

 コツコツと足音が聴こえる。快く鍵を持って大家があがってきた。

「終わったらまた声かけてな。氷室探偵事務所の探偵さんなら信用できるだろうから」そういって大家は笑っておりていった。

「よく開けてくれたものね」水桐は川上の愛嬌の良さをこういうときに役立たせることができるのだとしった。

「もっとも氷室名探偵が有名だからな。ある意味、俺たちはまだまだってことだ」川上は頭が垂れる。

 四人は205号室のドアを開けて中へ入った。

 御影と川上の目でもなにもみつからなかった。

 すでに森谷が単身きていたのだ。もしあれば資料にその事実が記されている。包み隠す必要はない。

「やっぱり、真の怪盗レオパルドへつながるものはなにもないか」川上はそうそうに根をあげた。

 大地もそれなりに調査していた。が、水桐はキッチンで突っ立ったまま気のないように見渡しているだけだった。

 御影のプライベート・アイは鑑識クラスの異質ななにかに視点がとまるのだが…、「時間が経過し過ぎているのかもしれない」

「どういうことだ?」川上がいった。

「俺の目は真新しい現場を見て、そのあとにもう一度見直す。そこに違和感を感じることができる。しかし、いまこの部屋はもうすでに二か月近く無人で、ひとの出入りも俺たちがひさしぶりなはず。だから、目に見えにくい塵や埃が覆ってしまっている」御影は頭を下げた。

「どういう意味だ、そりゃ?」

「要するに、布きんをテーブルで拭いた直後に、テーブルの天板上を指紋を押しつける。その指紋は塵や埃が降り積もる。これでほんらいの証拠が消え失せてしまう、という具合です」

 御影の言い分はとてもわかりやすい。

「なるほど、塵や埃を拭きとると指紋も消してしまうことになる。鑑識がデータを解析できてもな、そうか科捜研でなら可能かもしれない」川上が察した。

「でもそれって、わたしたちじゃ無理でしょ。協力を要請しないと…」水桐が口をはさんだ。

「そうですね。だいたいこの部屋の住人、尾ノ上が怪盗レオパルドの操り人形です、っていっても警察はいくらわれわれが氷室探偵事務所の探偵といっても動いてくれないでしょう。鑑識や科捜研への伝手はない」御影はいった。

「そうだな、いがみあっている仲だったら、貸し借りつくるのもいやだろう。警察のなかではな」川上は否定した。

 大地は無言だった。

 ちらっと水桐はその大地を見た。が、すぐに視線をそらした。「ねぇ、どうするのよ?」

 収集がつきそうもないから話題を変えようとする。

「ここでひとつ推理」御影はいった。「真の怪盗レオパルドはいると思いますか?」

「わたしたちにきいているわけ?」水桐は目をしかめた。

 御影は、はい、といった。

「どうしたいったい?」川上が疑問符を投げる。

「まぁいいでしょう。簡単な答えです。要するに、もう二か月近く空き部屋状態の205号室。その住居者は行方不明。これだけでじゅうぶん証拠になる。つまり、尾ノ上がいないことが証拠だ」

 見習い探偵御影は先輩探偵たちにびしっといった。

 川上はキャッツ・アイを発動させた。「おい、おまえのその言い分がただしいというのであれば、ひとつ奇妙なことがあるといま気づいた」

 川上の瞳孔が示す先には、テレビの下にある、DVDデッキ。そのうえにDVDソフトが乱雑に置かれているが、そこに見つけた。探し物を得意とする川上ならではの目だ。

「これ…」手にした川上は、みんなに見せた。

 栗原の写真。そしてその横に尾ノ上がいる。そしてさらに痩身な老人がひとり。

「この老人が、もしかしたら怪盗レオパルド」御影は口走る。

 水桐は鋭い目つきになった。

 川上は全員の顔を見渡す。「これが証拠になる。確実に…」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
-, , ,


コメントを残す

おすすめ作品