幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

魅舞唄師1〜唄を捧ぐおとぎ話3〜

   

 カルスの暴言に飛び出すように院長室を後にしたアルレイナは、心を落ち着けるためにあるところに向かっていた。

 

「うっ……ひっく……」
 院長室を出た途端、アルレイナの翡翠の瞳から雫が溢れ出た。
 歩きながら口元を押さえるが、しゃくり声までは押さえられない。
(なによ……あの人……私が何したってのよ!)
 アルレイナは怒っていた。そう、怒っているのだ。
 けして悲しいわけではない。
 あまりの怒りに、昂った感情が涙として出てきているだけなのだ。
(場所が院長室じゃなくて、彼が黄副長じゃなかったら殴ってたわね)
 昂った感情が涙として出ている分、頭では冷静にそんな事を考える。
 年頃の女の子がすることではない、とは思いつかないようだ。
 とにかく、アルレイナは止めどなく溢れてくる涙を止めたかった。
 本当は怒っているのに、勝手に出てくる涙のせいで悲しんでいるように見えそうだから、それが堪らなく悔しい。
 そしてまた昂った感情で涙が出る。悪循環だ。
 こんなときは、怒鳴って怒りを発散するしかない。
 だからといって、そこらへんで怒鳴ったら人が来て、泣いたことが知られてしまう。
(そんな恥ずかしいこと出来ないわ……どこかいい場所は……そうだ!)
 思いついたと同時にアルレイナは走った。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


コメントを残す

おすすめ作品

妖食フルコース フェスタン <ヴィアンド>

アストラジルド~亡国を継ぐ者~カーネット王国編 第18話 花はそこに咲いていた

妖食フルコース デジュネ <アペリティフ>

妖精たちの子守歌 <乳児>

サクリファイス クロニクル編23