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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season14-5

   2016年8月30日  

 探偵たちは社用車に乗りながら、次の案を練っていた。

 御影がふと尾ノ上のアパートでみつけた写真を穴があくほど見入っていた。

 そしてあることに気づいた。

 雲田が解析するといった。そういうことには長けているため、全員一致で同意した。

 もしかしたら怪盗レオパルドの重要な手掛かりになるかもしれない。

 そんなとき、南青山の展示場のダイヤモンドが消えていた。と氷室探偵事務所に連絡が入った。

 怪盗レオパルドか、その模倣犯か、だが警備の油断をついた心理トリックにやられたのだ。

 全員が敗北感に浸ったとき、姿をみせたひとりの探偵がいた。

 

 大地の提案は光森警部補に伝えた。

 だが、その写真については光森の胸にだけしまわれた。

「なんでですかね?」大地は後部座席からつぶやいた。

「しかたないよ」運転席から川上がいった。「逮捕されたのが栗原、女だからな。写真に写っている背の高い痩せた老人では似ても似つかない。今さら、ちがってましたなんて警部もいえないだろうな」

 助手席で御影は黙っていた。

 水桐はちらっと左にいる大地を見た。

 四人が乗る社用の車の後ろから、雲田はひとり別の社用の車でついてきていた。

 前方の車内の会話を聴いて呼びかけることもできる。無線装置が備え付けてある。雲田お手製のものだ。

「森谷さんの追跡調査の手掛かりで、調べるものはないのか?」雲田の声がスピーカーから聴こえた。

「わたしもそれ思ってました」大地も、いつになく積極的だった。

「あとは、この写真がどこで撮られたかってことくらいか」御影の目は三人が写っている背景に着目していた。

 青い空がひろがり、腰から上が写っている。どうやら三脚を使って撮影したのがわかる。中央にいる栗原が、やや右寄りだった。中心がずれている。だから右側にいる老人がぎりぎりの位置に立っている。

 左側の尾ノ上の背景の空間が右側よりスペースがあいている。その背景には自然というより遊楽な物が写っている。

「尾ノ上がわで見切れて写っているのは、観覧車の一部だ」御影はいった。

 三人は御影に意識がむいたように見る。雲田も答えた。

「ほんとうか」雲田の声はスピーカーから聴こえたが、くぐもっていた。

「観覧車なら、そんなに数は多くない。解析したらどこの観覧車かわかるかもしれない」川上が声を張った。

「それと、その写真で撮った場所が特定できる」水桐が厳かにいった。

 御影は頷いた。

 大地は黙っていた。

「聞いてるか?」雲田の声が再び聞こえた。

「ああ、ごめん。雲田さんがよくしゃべる日だ。みんな静かに…」川上が気をつかったが、よけいなことだと雲田は前方の車体をにらんだ。

 雲田は、ひとつ咳をして話しはじめた。「われわれなりの調査を続行しよう。それと写真の解析はわたしがする。科捜研にも負けないよ」

 川上は運転しながら笑った。「たしかに雲田さんに任せればいいな。そういうところは見込んでいる」

 御影、大地も水桐も同感というように微笑んだ。

「まだ終わりではないってことだ」御影は力を合わせればなんとかなる、と前向きな気持ちで笑っていた。

 

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