幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

愛の果て。守りたいのは、愛しい人。 7

   2016年9月1日  

かつての仲間が終結する。
現役を退き、裏方に徹していた人から聞かされる話、それぞれが見聞きした話を照り合わせて、事件解決に挑む。

 

※※※

 翌日、あきらの家には懐かしい面々が顔を揃えていた。
 エリカのことを気にしていた者、劇団存続の危機と馳せ参じた者、恩師の死を嘆く者、目的は様々だったが、これ以上劇団の名が悪い方に広まることを由としない、その思いは同じだった。
「エリカ~災難だったね……」
 まだ解決していない現在進行中だが、すでに済んだことのような雰囲気を口にしたのは、同期だった。
 主に女役で舞台に立ち、当時、劇団の中で一番の歌唱力を持っていたことから、主役にだけ与えられるソロパートを特例で与えられた数少ない人のひとり。
 彼女がひとり舞台の中央で歌うと、観客が聞きほれた。
 退団後、音楽方面での打診があったらしいが、潔く断り、今は悠々自適な専業主婦をしているらしい。
 そこそこ裕福な家庭を築いているようで、現役の頃より顔がふっくらとしていたが、現役の頃の可愛らしさの面影はまだ色あせていない。
「私、思うんだけど。これってエリカ絡みではなく、劇団を陥れようとしているんだと思う。エリカは運悪く標的に入れられた感じ?」
 事件の真相をいち早く語り出したのは、。
 彼女はエリカの四期先輩で、男役も女役も両方こなした器用な役者だった。
 主役を張ることはなかったが、名脇役として名を残している。
 劇団に残れる年齢まで在籍し、その後は劇団専属の講師として今もなお、劇団の中に残っている。
 そのためか、現役の体型や雰囲気を維持していて、ひとりだけオーラが違っていた。
 集まった面々の中でも一番年上なのだが、それを感じさせないのは充実した人生を歩いているからだと思われる。
「今回の件でちょっと昔を思いだしのだけど、エリカの周りというより、咲みちるさんの周りで起きていたことの方が多かったと思うのだけど、みんなの記憶はどう?」
 一連の発端は咲みちるの在籍時代から始まっていると言い出したのは、エリカのひとつ上にあたる先輩で。
 彼女は初舞台から数回舞台に立ったが、突然の現役引退。
 その後、劇団の裏方に就職をしたという変わった経歴を持つ。
 今は結婚をしているので違う仕事をしているが、エリカたちが在籍していた頃は広報部に籍を置いていた。
 そんな彼女からの発言はかなり真実味を帯びている。
 なぜなら、広報という仕事柄、役者としても個人としても劇団員との接点が多いからだ。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
-, , ,


コメントを残す

おすすめ作品