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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season14-7

   2016年9月5日  

 光森警部補は単身新宿へむかい、氷室探偵事務所に訪れていた。雲田と大地だけいたため、胸のうちを明かす。

 警察の威信のため、栗原を怪盗レオパルドとして逮捕したことをメディアに報じた。

 だが、それがちがったということであれば事実を、つまり怪盗レオパルドの真の黒幕をただのコソ泥として、模倣犯として逮捕しようと、隠蔽を目論む。

 それに光森は憤慨している。

 雲田たちは光森の心情を聞かされていくうちに、胸に秘めた暗躍をしる。

 一方、御影は森谷を含めて尾ノ上のアパートへ行き、南青山の展示場に再訪していた。

 隅々まで調査をして手掛かりを探そうとするが、徒労となった。そのせいで川上と水桐が喧騒をむきだしにしていた。

 森谷が一喝してその場を静めた。そこに森谷の携帯に佐伯から着信。

 すると森谷がいった。根津美術館に怪盗レオパルドから犯行予告があったと。

 その美術館は目と鼻の先にあった。

 根津美術館で第二幕の火蓋が切られた。

 

 光森警部補は雲田にいった。「わたしは寺門警部と口論して単独で捜査してます。また繰り返すと怪盗はいってました。だから犯行予告がくるといって、警部は目を輝かせてました。せっかく逆探知できたのに、逃がすなんて考えられない」

「それで単独ここまできたわけか。停職になるぞ」雲田は静かにいった。

「すみません、でも、もう負けっぱなしはがまんならない…」

 光森は有明のことを引きずっているようだ。しかも栗原は本当の怪盗レオパルドではないとわかったときから、心情に変化が起きた。

「警察は正義の使途だ。ねつ造しようとしているんだからいやになる」

 雲田は不穏な顔になった。「どういう意味だ?」

「真の怪盗レオパルドが本当にいたとして、それをどう逮捕すればいいのか。栗原 毬が怪盗レオパルドとして世間に公表して逮捕してしまった。それが真の黒幕がいたなんていえない。操り人形の彼女を逮捕したのであれば、もっと素性と関係性を捜査しなかった警察の怠慢です」光森はしかめっ面になった。

 雲田たちは黙ってきいていた。

「こういう事例は世間の報道が食いつくんですよ。それを上層部はけぎらいする。だから真の怪盗レオパルドが逮捕されても、コソ泥として逮捕することになる。本当の怪盗レオパルドなんてもはやいてもいなくてもいい。真の怪盗レオパルドは本人にとって名誉を守ろうとしているのでしょうね。あんな500万円のダイヤなんて奪う必要があるのか。いずれにしても、警察の怠慢が露呈するのは明白なんです」光森警部補は警察がわの事情を語った。

「そんな身勝手な目論見があったのか。だから寺門警部はいつになく喧騒を振りまいていたわけだな」雲田は納得した。

 大地は黙ってきいていた。近くには小柴、佐伯の耳にも聞こえていた。

 ほかの事務員は電話対応や事務作業にいそしんでいた。

「とりあえず見逃すわけにはいかない。光森警部補はどうするつもりで?」雲田はいった。

「上層部の失敗につきあってられません。自分は正義のもとに正直にありのまま報告します。もとより上が席をあければ自分が階級があがります…」光森警部補の狙いはそこにある。

「なかなか肝がすわっている警部補さんがいたものだな」雲田は微笑んだ。

「自分も捜査に加わっていいですか?」光森は雲田と大地の顔を見た。

「まぁ、いいですよ。警察バッチがなければ調査できないところもあったりするわけですし、ぜひ」雲田は快諾した。

 三人は、そのまま夕日が落ちて空が黒ずんでいくなか、丸い月をその目で認めて新宿の街へ足を運んだ。

 

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