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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season14-8

   2016年9月7日  

 警部の警備網は二重三重の防壁となって、とても外部から侵入して予告どおりのターゲットまでたどり着けるはずもない。

 探偵たちもそれぞれが重要文化財の絵画を見て回るが、異常はないと確認する。

 そんななか水桐は御影に歩み寄り耳打ちしていた。

 昼間の犯行予告ではしてやられた。

 もしかしたらまた、このなかに、すでに怪盗レオパルドは成り代わって侵入しているかもしれない。だが、すでに警備にあたる警官、職員は素性を調べ尽くしていた。

 同じ失敗はないと御影はいった。

 だが、水桐に懸念はそこではなかった。御影に伝えると、それは驚愕だった。

 しかし一理ある。御影も胸中、おかしな矛盾があることに気づいていた。確証もなかったため流していたが、水桐の提案にのった。

 怪盗レオパルドが行ったフェイク。探偵はまんまとそのフェイクに誘導されていた。

 泥棒猫は、すでにここにいる。

 

 警察の警備配置はそとから一メートル間隔で周囲を取り囲んでいた。

 内部も二人一組で動くようにしている。視界にはいる警官の組を確認しながら、もし不審者がいれば応援にすぐ駆けつけられる。

 二重三重の防壁となるため、目的の重要文化財のお宝に到達できるはずもない。

 建物の屋根裏から侵入することもむり。念のため、熱センサーで天井をしらべた。遠赤外線で感知させ、画面にひとのような形は確認できない。

 ねずみすらいない、生体はひとつもない。

「これだけのことはした。あとは怪盗がくるかどうかだな」川上は警察の本気をまじまじと見ている。

 森谷は同感だといわんばかりに頷いていた。

 大地も森谷の背後でほかの絵画を鑑賞していた。

 御影は寺門警部と光森警部補がにらみあっているのを見ていた。どうやら光森は、もう少しこうしたほうがよいのではと案をつたえていた。

 警部は聞く耳を持たなかった。これで包囲できると思っている。いつもこれで出し抜かれていたというのに。

 相手は怪盗レオパルド。しかも黒幕だ。栗原を操って、指示をおくっていた尾ノ上のさらに伝達していた真の怪盗レオパルド。

 そんな人物が相手にこの程度では、と思って作戦は練るべきだ。

「ねぇ、御影くん」水桐がいつのまにか御影のそばにいた。

「はい、どうしたんすか?」御影はいきなりのことで呆気にとられていた。

「あと15分くらいだけど、ちょっと気になることがあって…」やけにちいさい声でつぶやいている。

「どんなことですか?」

「怪盗レオパルドがこの中にもういるかってこと」水桐は昼間のことをいっている。

「同じ手でくるのであれば、だいじょうぶです。警察や館内の職員は全員調べたそうです。寺門警部自身がね」御影は微笑んでいた。

 警部も同じ失敗はしたくないようだ。

「そうじゃないわ。わたしがいいたいのは…」水桐は御影にささやくように耳元でいった。

 御影は驚いた。「まさか、だがそれはありえる。それに…」

 水桐の指摘は御影にも不思議と胸に残っていた。たしかにおかしな矛盾がある。

 ちらっと森谷を横目で見る御影だった。

「罠を仕掛けたほうがいいわ。これだけの宝を盗めるはずもない。ほかに狙いがあるはず。真の怪盗レオパルドは…」

 水桐はさらに信じられないことをいった。まるでそれは正体を暴いたようなことだった。

「あっ…」御影は正体までは気づかなかった。完全に写真に写っている老人が真の怪盗レオパルドだと思い込んでいた。

 それがフェイクになっていた。思い込みのトリックの中に、御影はまんまとかかっていた。

「よく思いつくものだ」御影は水桐の鋭い洞察力に感服した。

「だからクール・ド・アイ、冷静沈着な瞳なのよ」水桐は愛想よく御影にウィンクして見せた。

 

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